世界五大陸94カ国制覇!旅行作家・歩りえこが “ブラを捨てて” バックパック旅に出たわけ
女性の一人旅ということで、身の危険を感じることもあったのでは。
歩「日本にいるとそんなに感じないですけど、海外は命の危険と常に隣り合わせ。特に治安の悪いエリアでは銃声がバンバンしますし、強盗が多いブラジルなどでは、荷物を持たないことが命を守る一番いい方法だと思って、できるだけ手ぶらで行動していました。そうすれば物盗りを目的にして襲われませんから。
道路でひかれそうになることも日常茶飯事で、エジプトでは車と車の間を全速力で走り抜けないと道を渡れません。インドに行くと、今度は牛が突進してきたり、いきなり痴漢が胸をつかんできたり。どこからでも車なり牛なり痴漢なりが飛んでくるので、避けて歩いているうちに瞬発力はつきましたね(笑)」
日本のトイレは世界一きれいだといわれますが、世界のトイレ事情も気になります。
歩「エチオピアでは小屋みたいなトイレがあるんですけど、息を止めていても耐えられなくなるほどの悪臭で、基本的に外に出て野原で用を足していました。大は手持ちのティッシュペーパーや新聞紙を使いますが、小の場合は自然乾燥ですね。生理用品は入手できるのですが、ナプキンはやたら大きくてかぶれるので、日本から持って行くか日本人の女性バックパッカーから分けてもらいました。タンポンもアプリケーターがない大雑把な作りなので、日本の生理用品は本当に至れり尽せりなんだなと実感しましたね」
そんな歩さんがもう一度行ってみたいと思う国は?
歩「ミャンマーとフィリピンに行ってみたいですね。基本的に会う人会う人みんなが笑顔で、愛想笑いではなく心からの笑みがこぼれているんです。おそらく宗教的な理由もあると思うのですが、困った人がいたら誰にでも親切にしてくれますし、そういう国に行くと私も自然とハッピーな気持ちになれます。行ったことのない国では、ブータンに行ってみたいです。
ヨーロッパのすべての国にも行きましたが、ケチャップ強盗とかアイスクリームをかけられたりとか、ショボい事件しか起こらないので印象に残らない(笑)。私はもともとドMなので、どれだけキツくて辛い体験ができるかが旅の醍醐味。インパクトがないとつい “刺激が足りないな” と思っちゃうし、日本にいるとなかなかハードな体験ができないので、物足りなくて海外に行ってしまうんだと思います」
30代で台湾人男性と国際結婚して現地へ移住。出産を経て現地の大学へ進学し、離婚も経験されました。
歩「私はレトロで懐かしい場所が好きで、自分にとって居心地のいい場所を求めて世界を旅していたのですが、その懐かしさが感じられる場所が台湾でした。現地でたまたま胃腸炎になった時に、助けてくれたのが元旦那さんです。
ところが、私は人生の中で止まっていることができないタイプで(笑)、結婚しても専業主婦になるのは絶対に無理で、何かしていたくて “そうだ、大学に行こう” と思ったんです。目指した時はすでに妊娠していて、さらに子どもが年子だったので息つく暇もなかったんですけど、ずっとつわりや産後の辛さと闘いながら “それでも何かしなきゃ” みたいな。
彼とは結果的に離婚しちゃいましたけど、結婚は人生のひとつの出来事としてよかったと思っています。常に自分を追い詰めることが私の人生のテーマなのかもしれませんね。見た目は普通に見えるみたいなんですけど、中身はドMで変態なんです、アハハ(笑)」(後編は11月27日に配信予定)
(TOKYO HEADLINE・後藤花絵)