新海誠監督最新作『すずめの戸締まり』は“忘れない”を“忘れない”忘れられない映画だった!【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】

 こんにちは、黒田勇樹です。

 来年2月に上演する、三栄町LIVE×黒田勇樹プロデュースvol.13 『シン・デレラ』では出演者オーディションを行うんですが、多くの方にご応募いただいてます。ありがとうございます。そして締め切りが本日(11月30日)の23時59分に迫っております。まだまだ多くの方々とお会いしたいと思っておりますので、迷っていてこの文章をご覧になられた方は何かの縁だと思って、ぜひ。

 31日以降にこのコラムをご覧になられた方は次回にぜひ!

 では今週も始めましょう。

黒田勇樹

 東宝株式会社様も貼り紙で呼び掛けていたように「地震系の描写」や「緊急警報やアラーム音(ビュィッビュィッみたいなヤツね)」を使った表現が出てくるので、苦手な人は用心することと、「実際に鳴っている」のかどうかを冷静に判断して下さい。

 もうね!こんなに映画コラム泣かせな作品もありませんよ。
 ネタが多すぎる!

 重い書き出しで始めてしまいましたが、中身は凄いポップで画がキレイな、ボーイミーツガール。かと思いきや、伝説や異世界、家出…新海節のオンパレード…そして…。

東宝株式会社様も貼り紙で呼び掛けていた

 自作のセルフオマージュ含め、宮崎駿監督を、はじめとしたアニメ巨匠たちへの怒涛のオマージュ…というかもう「そのままやっちゃってんじゃねぇか!」を通り越して、「これもう、全部しっかり許可取って業界全体でやっとんな?」レベル。

 まぁ、人の作品を引用するなら本来それが当たり前なんですが、なあなあになってる昨今、衝撃的で、この量になると公開してから半月以上経っているので、そこいら中の界隈が考察したり隠れ要素を探したりしていると思うので、絶対にブログやらYouTubeを見る前に、劇場にお運び下さい。

 

 この点で筆者が特筆したいのは…邪魔じゃない!!
 むしろ、それがあるせいで効果的になる場面が沢山ある!

 オマージュって、引用元を匂わせつつ効果的に機能させればリスペクト、笑えればパロディ、知らん顔してそのままやるだけならパクリ、etc…。

 実は観客、作り手、出典側、それぞれの関係性や視点で変わる危うい価値観のものなので「大好きなセリフを、そんなシーンに使わないで下さい」「そのキャラはそんなこと言わない」みたいな事態も起こりかねる。わざわざやっておいてつまんなかったらギルティな演出を進んでする「“アレ”が、なければ泣けた」と、戦犯扱い。

 モノを作る側から見ると、マグマの上の細っそいロープの上をダッシュで駆け抜ける綱渡りのような、潔さ。実際IMAX用の演出であろうバイクや車のカーアクションに、もうなんでそんな身体能力なのか全然わかんないけど楽しいから、もっとやれ!という主人公の女子高生による華麗なパルクールもどき、怪獣対戦…!!!

 これ全部バランスとりながら、どうみても「自分の撮りたいものを撮った」のは本当に凄いことだと思いました。

 追悼の意味を持たせつつ、エンターテイメントとしても記念すべき作品になったのではないでしょうか。

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黒田勇樹(くろだ・ゆうき)
1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として舞台やドラマ、映画、CMなどで活躍。
主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともにTBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。山田洋次監督映画『学校III』にて日本アカデミー賞新人男優賞やキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパーメディアフリーター」と名乗り、ネットを中心に活動を始めるが2014年に「俳優復帰」を宣言し、小劇場を中心に精力的に活動を再開。
2016年に監督映画「恐怖!セミ男」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映。
現在は、映画やドラマ監督、舞台の脚本演出など幅広く活動中。

公式サイト:黒田運送(株)
Twitterアカウント:@yuukikuroda23