“秘密”は女優を美しくする!前世の記憶をテーマに彩られる純愛ストーリー『月の満ち欠け』【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】

 こんにちは、黒田勇樹です。

 先週も告知させていただいていた、来年2月に上演する、三栄町LIVE×黒田勇樹プロデュースvol.13 『シン・デレラ』の出演者オーディションを先週、開催させていただきました。

 多くの方に来ていただきまして、貴重な出会いがたくさんありました。この場を借りて、お礼申し上げます。

 こういうのって「縁」という要素も大きいので、今回出会えた方はもちろんなんですが、今回ご一緒できなかった方も、別の機会で縁が生まれることもあると思いますので、その時はぜひ!

 では今週も始めましょう。

黒田勇樹

 佐藤正午さんのベストセラーを原作にした映画『月の満ち欠け』を観てきました。

 大泉洋さん演じる、妻と娘を同時に亡くした男性を中心に、幸せだったころの家庭や、それにまつわる過去の恋愛などを振り返りつつ進んでいくというストーリー。

 そこに「生まれ変わりの可能性」というファンタジックな要素が足され、若干のミステリー要素もあるにはあるのですが、全体像を俯瞰で見ると“ド”ストレートな愛の物語。

 ぶっちゃけ「まあ、そうなるよね」という展開の連続なのですが、だからこそ、じっくりと女優陣の演技を楽しむことが出来て、大満足な作品でした。

“女優”と限定したのは、決して男性陣が良くなかったワケではなくて、この作品「女性の秘密」がひとつのテーマとして走っていて、メインの“生まれ変わり”に関してを始めとし、それ以外にも沢山の“女の秘密”が出てきます。

 男性陣は、秘密というよりも正直に懸命に生きるキャラクターが多かったので“演技”の素晴らしさもさることながら“人間”の素晴らしさが全面に輝いていた印象。

 さて、この「女優さんの“秘密”の演技」。

 古今東西、傑作ぞろいなんですよね。大林宣彦監督の『さびしんぼう』などの尾道三部作やら「秘密」とか「いま、会いにゆきます」とか、“秘密を抱えた女性”を演じると、何故か女優さんはいつもの4、5倍輝いて見える。そもそも、いつもと違う自分を演じる“演技”という行為と、本当の自分を隠そうとする“秘密”という衝動の親和性が高いので、演技のプロである女優さんが“秘密”を表現するということのマッチアップがそうさせているんではないでしょうか。主演の一人である有村架純さんも、元々「とても上手な女優さん」と思っていたのですが、今回は、それを超えて腰が抜けるほど良かった。有村さん以外にも柴咲コウさんを始め、女優陣、小学生ぐらいであろう子役の女の子たちまで、全員すっごい素敵な「秘密を抱えた女の子」を見事に演じられていました。

 1人だけ、ストーリー展開的には仕方がないのでしょうが「もはや死神」みたいな役の人がいて、何の救いもなく、かといって裁かれもせず、逆に凄い可哀そうな気もしましたが、まぁ、そこはドラマにすると蛇足だったので仕方がなかったかな?

 秘密と夜空が好きになる、そんな素敵な映画でした。

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黒田勇樹(くろだ・ゆうき)
1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として舞台やドラマ、映画、CMなどで活躍。
主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともにTBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。山田洋次監督映画『学校III』にて日本アカデミー賞新人男優賞やキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパーメディアフリーター」と名乗り、ネットを中心に活動を始めるが2014年に「俳優復帰」を宣言し、小劇場を中心に精力的に活動を再開。
2016年に監督映画「恐怖!セミ男」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映。
現在は、映画やドラマ監督、舞台の脚本演出など幅広く活動中。

公式サイト:黒田運送(株)
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