名古屋市千種に「メニコンシアターAoi」が開設。「新宿や下北沢、ブロードウェイのようなエンターテインメントのメッカにしたい」

冒頭、メニコン芸術文化記念財団の田中英成代表理事が挨拶

芸術監督に山口茜氏が就任

 今回の就任にあたり山口氏は「あらゆる人々は本来、芸術家だと思っている。今、私は2歳と6歳の子供と一緒に生活をしているが、彼らが日々、絵を描いたり本を読んだり踊ったり歌ったりと、ずっと芸術に没頭している姿を見て、人間は社会の動物になっていく過程で、人に迷惑をかけてはいけないとか、そういったことを気にしすぎるあまりに、自分の芸術に対する欲求のようなものを抑えこんでいってしまうのかなと感じるようになった。或いは芸術に携わっていても、誰かに評価されることにばかり気を取られて、自分が何をしたいのか分からなくなってしまうのはなぜなのかと子供に教えてもらえるようになった。他者と生きていく中で誰にも迷惑をかけないことや、声の大きい人の機嫌を損ねないことに気を取られるあまり、自分を喜ばせたり癒したりすることを忘れてしまっているのではないか。そうして自分自身を無視した結果、他者を排除したり、暴力的に扱う幼稚さを抑え込めなくなってしまうんじゃないかと考えた。だから私はこの劇場を芸術に没頭することを思い出す場にしたいと思っている。あらゆる人々がさまざまな他者の表現に出会い、自ら表現することをてらいなく行える場を目指したい」などとその方向性を語った。

 初年度のラインアップは4月18日にプレイベントとして平田オリザ氏が「新しい広場を作る-地域における劇場の役割-」というテーマで講演を行い、5月14日にはトライアルイベントとして山口氏が主宰するサファリ・Pの「透き間」を上演。こけらおとし公演は歌劇「あしたの瞳」(7月19~22日)となる。同作を皮切りに2024年3月まで演劇、パフォーマンス、人形劇といったさまざまなジャンルで計14本の作品が上演される。