変わらずに裏切り続けた義村・山本耕史「義時に小栗旬のいろんな部分を見た」〈鎌倉殿の13人〉


 大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が大詰めを迎えている。放送回は残すところあと2回。視聴者はラストまで北条義時や彼を取り巻く人々の一挙手一投足に心をぎゅうぎゅうと絞られることになるのは間違いなさそうだ。そんな時、あの男はどうしているのだろうか。放送開始時から、いい意味でブレずに生きてきた男、それゆえによくわかるようなわからないような男、三浦義村だ。冒頭から最終回まで、主人公と“いい距離感”で歩んできた義村を演じた山本耕史に聞く。

 

『鎌倉殿の13人』の人気と注目度はスタート時から今に至るまで上昇しっぱなしの状態だ。「#全部大泉のせい」と盛り上がった熱は、そのまま「#全部小栗のせい」となり、キャラクターたちが途中退場していく際には温かくそして熱い別れの言葉がSNS上に綴られた。そうした反応は登場人物それぞれの魅力であり、それを演じた俳優たち、共に作り上げた制作陣、そして三谷幸喜が手がけた脚本によるものだろう。

 山本耕史の言葉を借りれば、『鎌倉殿の13人』は、「時代に飲み込まれ、自分の信念をねじ曲げながらも、北条のために命をかけて生き抜く」という義時の出世の物語。「なぜあれが起きたのかということを内側から紐解いていく」一方で、「三谷さんらしいオトボケなところだったりとかコメディの部分だったりをちゃんと織り交ぜて」届けた。「素晴らしかった」と山本は改めて感心する。

 三谷が手がけた大河ドラマは『鎌倉殿の13人』のほか、『新選組!』(2004年)、『真田丸』(2016年)がある。山本はその3作すべてに出演している。『新選組!』では主人公の近藤勇を支える土方歳三を、『真田丸』では石田三成を演じた。

「3作品の中で頭から最後まで出ているのが『新選組!』と『鎌倉殿の13人』になります。ポジション的にも主役の相棒、今回は盟友というか、一番近くにいるような存在というところで結構共通しています。土方の場合は、近藤を押し上げるために二番手に回り、彼のために人生を捧げるといった青春群像劇でした。義村はというと立ち位置は近いんですけど忠義は違う場所にありますし、義時の盟友ではあるんですが、どの瞬間も三浦の存続を考えている。土方とは真逆を演じたような印象があります。

『真田丸』では武骨で忠義の人である石田三成公を演じさせていただきました。気持ち良く人生を全うしたといえるような役でした。というのも、『新選組!』『鎌倉殿の13人』では(演じている役は)大河中で人生を終えてないんです。大河ドラマって、いろんな人が参加して、いろんな人が去っていきます。ガッと花を咲かせてパッと散っていくっていうのが大河の気持ち良さでもあるんですが、それがなかった。土方もなかったんですが幸せなことに続編があったので全うして自分の中でその役を終えられました。ただ、義村に限ってはまだ生きてるんで、終わった感がきっちりあるかっていうとないんですよ。この先も義村は生きてますから僕の中ではまだ生き続けている役です。政子もそうだし実衣もそうじゃないかな」

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