変わらずに裏切り続けた義村・山本耕史「義時に小栗旬のいろんな部分を見た」〈鎌倉殿の13人〉


 先日もその変わらない部分を見直したくなるシーンがあった。

「公暁(寛一郎)に話をするシーンで、泰時と義時が義村の腹の内を探りに来るんです。義村はそんなわけないってとぼけるんですが、その時にちょっと襟を触るんです。泰時が義村の言葉を信じるのかと義時に問うと、義時は“あいつは心と言葉が違う時は必ずこうする”って襟を触るんです。

 第1回から見て見ると結構それをやってるんですよね。自分でそれをやっていた自覚はあったんですが、どんなシーンでやってたのかは分からなくて。ただこれが見事にそういう時に触っている。例えば義時が比企を問い詰めるところ。比企には三浦がついていると言って襖をバーンと開けると義村が立っていて、三浦と北条は刎頸の交わりよ、と言う。その場面で襟を触ってるんです。そういうところが何回かあって。本当は言わない方がかっこいいんだろうけど、(図らずも触っていて)成立したシーンです(笑)」

 変わらないがゆえの裏切りの連続。今もまだそれが続いている。台本のページを繰るたびに「ワクワクした」というが、苦しく感じたり、心が傷むことはなかったのか?

「しいて言えば、これは私情も入っているのかもしれないけれど、公暁暗殺かな。焚きつけておいて失敗に終わったから手を打っておかないと三浦が危うい!となって。……寛一郎が綺麗な眼差しと綺麗な未来を持って演じていて憂いというか悲しみみたいなものを纏ってました。『どんな時にも腹が減るもんだな』なんて言っている後ろからサクッって行くのは、ある意味、義村っぽいんだけど、すごい残酷なシーンであり、ちょっと可哀想だと思ったかな」

 寛一郎は、「大先輩であり大好き」だという佐藤浩市の息子。佐藤にもにもよろしくと声をかけられたそうだが、演じていて、「ひとりの俳優としてすごい俳優だなって思いました」と話した。

 さて、残すところあと2回。そのなかにも、公暁暗殺と同じかそれ以上に視聴者の心を揺さぶるシーンがあるのは間違いなさそうだ。

最後の義村と義時の会話シーンが本当に印象的だったんですよね」と、山本。話しているのは18日に放送が迫った最終回のあるシーンのこと。「どういうふうに終わるんだろうなと思っていたら、見事にこの1年半撮影してきた流れの中で……両方ともすごく腑に落ちたと思うんです、義村も義時も。最後の最後にもっと通じ合ったような、逆に最初に戻ったような。なんかそんなね、素敵なシーンだなって思いました」

 それがどんなシーンなのか。画面の前で静かに待ちたい。

『鎌倉殿の13人』は、 毎週日曜、NHK総合で20時から、BSプレミアム・BS4Kで18時から放送中。再放送(土曜13時5分~)もある。

 

(TOKYO HEADLINE・酒井紫野)