帰ってきた僕たちの青春!映画『THE FIRST SLAM DUNK』は“ナニの原点なのか”を真剣に考えてみた【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】
こんにちは、黒田勇樹です。
11月18日に南阿佐ヶ谷トーキングボックスでトークライブをやらせてもらったんですが「俺もインタビューする側になりたい!」と言いましたところ、すんなり第二回目の開催が決定してしまいました。
12月28日にセクシーなビデオのエキストラに2000本出演しているという、えこの みぃさんをお呼びしていろいろ根掘り葉掘り聞いてみようと思っております。
28日といえば世間様では仕事納め? まあ、ご興味のある方はぜひ。今回も配信もありますのでそちらでも。
では今週も始めましょう。
言わずと知れたスポーツ漫画界のレジェンド、バスケ漫画の金字塔『SLAM DUNK』が、映画となり、長い時を経て帰ってきました。しかも監督は原作者の井上雄彦先生。
最近、原作者さんがガッツリ関わるアニメ映画が増えてきていますが、長年の井上フォロワーとしては「先生が、また新しい画材という名のおもちゃを手に入れてしまった!」という印象。
水墨からデジタルまで、新しい画材が現れればとことん研鑽して、作品に落とし込む性質のお方。今回は3Dアニメーションという画材で描けるスラダンを思う存分描かれていたという印象でした。技術的にもかなり躍進的に見える表現が多く、そういう意味でも今後のCGアニメの流れを変える“原点”になっていく気がします。
メタに言えば、同じ技術でもスラムダンクの看板背負わなければここまで予算もかけれなかったし、注目も集められなかっただろうしね。
さて、この“原点”、つまりタイトルにも冠されている“FIRST”、何を指すのでしょうか? 82年生まれ40才の筆者はどストライク世代、憧れてバスケ部に入ったクチなので“まさに原点”。
しかし「スラムダンクの原点」と読み解くとすれば、ストーリーが若干難しいし横にそれている。なんというか、ドラゴンボール原作でピッコロさんがメインのストーリーなのに、大したキャラクター紹介もしないで突然悟空とベジータの名場面が挟みこまれたりして「これ、ファンにはたまらんが、初めてこの作品に触れる人たちには、どこまで理解できるのだろうか」という部分も少なくありませんでした。視点を桜木から変えるなら、素直にゴリを中心に「チーム結成まで」をやった方が「スラムダンクの原点」感はあった気がします。
CGアニメーションを使ったバスケシーンもリアリティが凄くていうこと無しだったんですが、クライマックスの手前ぐらいまでそのリアリティが重視されすぎて、漫画やアニメに慣れている人が観ると若干のテンポ不足を感じてしまったのではないでしょうか?漫画ならコマとコマ、アニメならカットとカットの間の“省略された部分”やデフォルメの演出が出すスピード感やダイナミクスが存在しているので、ノーカットでボールを追い続けるカメラワーク(めっちゃカッコいいのよ)が、漫画から入った筆者にはノッキングを起こしてしまいました。
クライマックスに入りCGとアニメーション的な演出が重なってからのカタルシスはハンパなかったので「これをちょっとだけでいいから先に見せておいてくれたら前半の印象が違ったのかな?」とも。
少年漫画テイストバリバリバージョンの映画も観たかったぜ!
自分の原点であったスラムダンクとの差異にギクシャクする部分もあったのですが、これが「初めて見るスラムダンク」な人も沢山いると思うので、この「ファースト」が“原点”になる世代がどんな風に育っていき、この作品やバスケを語り継いでいくのかが楽しみになる作品でした。
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1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として舞台やドラマ、映画、CMなどで活躍。
主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともにTBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。山田洋次監督映画『学校III』にて日本アカデミー賞新人男優賞やキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパーメディアフリーター」と名乗り、ネットを中心に活動を始めるが2014年に「俳優復帰」を宣言し、小劇場を中心に精力的に活動を再開。
2016年に監督映画「恐怖!セミ男」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映。
現在は、映画やドラマ監督、舞台の脚本演出など幅広く活動中。
公式サイト:黒田運送(株)
Twitterアカウント:@yuukikuroda23