2023年版「アニメ聖地88」『リコリコ』選出も『すずめの戸締まり』『スラムダンク』落選のワケ

『シギザクラ』の豊田市の太田稔彦市長(右)に認定書を渡す富野由悠季会長(筆者撮影)

■『すずめの戸締まり』が外れた背景

 一方で、人気作品にもかかわらず、「アニメ聖地88」から漏れた作品も多くある。今年の作品で言えば、現在劇場公開中の新海誠作品『すずめの戸締まり』や、人気漫画「SLAM DUNK(スラムダンク)」の劇場版『THE FIRST SLAM DUNK』がその好例だろう。『すずめの戸締まり』では宮崎県や愛媛県、神戸市や東北の三陸沿岸がモデルとなっており、『スラムダンク』では神奈川県藤沢市の江ノ島周辺が舞台になっている。

 にもかかわらず「アニメ聖地88」に入っていないのは、ファンの人気投票で上位に入ったとしても、「権利者や地方自治体関係者と協議」する過程で外れてしまうケースが多々あるためだ。

 外れてしまう理由の多くは、作品の舞台を特定させ、さらに「聖地」と言い切ってしまう取り組みに主に版元が賛同できないというものだ。例えばスタジオジブリ作品などでは、一つひとつの建物などのモデルは確かにあるものの、描かれている世界そのものはあくまで架空のものであり、実在するものとは関係がない姿勢を貫いている。ファンが日本各地で「聖地巡礼」している『鬼滅の刃』など、ジャンプ作品の多くも同様の理由で舞台地を「公認」していない。