誹謗中傷やフェイク動画… デジタル時代のタレントを守るコンソーシアムが本格始動

 

 デジタル時代のエンターテインメントが抱える課題解決に向けたコンソーシアム「デジタルエンタテインメントプロジェクト」が20日、衆議院議員会館・国際会議室(永田町)にて行われ、タレントマネジメント会社など関連事業社13社が参加。エンターテインメント業界がデジタル領域において直面しているさまざまな問題解決に向けた取り組みがスタートした。

 日本の活性化を目的とした、内閣府の「beyond2020プログラム」認証事業「BEYOND 2020 NEXT FORUM」の一環として、次世代エンターテインメント振興をテーマに実施された経済産業省のワーキングから発展した活動。インターネット上のプラットフォームやSNSなどで活躍するタレントやコンテンツのマネジメント会社などが参加し、課題の共有や解決に向けたコンソーシアム作りを目指す。

 会の冒頭、鈴木隼人衆議院議員がビデオメッセージで「私も皆さんと一緒になってエンターテインメント業界を盛り上げていきたいと思っております」とコメントを寄せ、アドバイザリーを務めるBEYOND 2020 NEXT FORUM代表理事の一木広治氏も「BEYOND 2020 NEXT FORUMでは日本の次世代エンターテインメントをどう盛り上げていくか、2017年から各界の有識者や経産省とともに取り組んできた。その中で喫緊の課題として浮かび上がったデジタルエンターテインメントに関わる課題について皆さんとともに取り組み、日本のエンタメ業界を活性化していきたい」とあいさつ。

 この日は、デジタルエンターテインメントの領域を中心に活躍するタレントやインフルエンサー、クリエイターなどを擁するマネジメント会社やプロダクションの代表らが参加。各社からは喫緊の課題が多数伝えられた。

 中でも多く聞かれたのは、主にネット上での所属タレントらへの誹謗中傷などに苦慮する現場の声。

 他にも、SNSのアカウント乗っ取りや、著作権侵害、タレントらの肖像を不正に使用したフェイク動画・画像が流布されるケースが近年、さらに増えているといい「警告を出すにしてもきりがなく、一社では手に負えない状況になりつつある。当人はもちろん、家族やファンへの負担は非常に大きい」、「誹謗中傷がSNSから飛び出してくることもある。SNSとリアルを行き来する誹謗中傷は本当に怖い。現実的に身を守ることも意識しなければならなくなる」という声が上がり、看過できない状況が浮かび上がった。

 一般からの中傷や権利侵害のほか、事実ではないメディアの記事についても「裁判を起こして勝訴しても費用や労力のほうが大きい」といい「当事者であるマネジメント会社のサイトで表明しても“言い訳”と受け止められがちだが、行政や弁護士とも連携している団体を作り、公式の事実を伝えるサイトを作れたら客観的なメディアが正しく伝えてくれるのでは」という声も。

 また、これからのマネジメント会社には、タレントらの活動の場となるプラットフォームと交渉できる能力も求められるといい「突然、プラットフォームのサービスが停止されたり、タレントのアカウントが理由も分からず停止され、活動の機会を失うケースもある。懸命に頑張ってそのプラットフォームを盛り上げてきた配信者はどうなるのか。タレントやクリエイターを守る立場にある我々にも、どうにもできない。最低でも1年前にサービス終了を通知するなどの要請も、個社の声では届かないかもしれないが、そういった団体から表明できたら」。「プラットフォームを活動の場とするタレントや所属事務所が、適正利潤を得られる環境づくりも必要だと思う」。「デジタル上でのさまざまなトラブルへの対応や、プラットフォームとの交渉ができる組織ができれば、そこに参加する会社に所属するメリットを、タレントやクリエイターらも感じることができるはず」。「誹謗中傷を重ねるIPのブラックリストを、団体とプラットフォームが共有しアカウントを作れなくするなどの仕組みができたら」と、課題対応に実行力を持つ組織作りを望む声が多く上がった。

 きゃりーぱみゅぱみゅなど、ネットを介し国内外で活躍するタレントが多数所属するアソビシステム株式会社の中川悠介代表は「個社で訴えても難しい問題も、組織であれば変えていける可能性がある」と同コンソーシアムの今後の発展に期待を寄せた。

「デジタルエンタテインメントプロジェクト」第3回コンソーシアム参加企業…GROVE 株式会社、アソビシステム株式会社、株式会社エイチジェイ、株式会社 TWIN PLANET、株式会社 LVS、株式会社 TRUSTAR、株式会社 N.D.Promotion、株式会社 For you、株式会社 スターレイプロダクション、株式会社 LUV、株式会社 フレイブ エンターテインメント/アドバイザリー・一木広治(早稲田大学研究院客員教授、『BEYOND 2020 NEXT FORUM』代表幹事)、株式会社 JST ※順不同

 

アソビシステム株式会社中川悠介代表

 

鈴木隼人衆議院議員

 

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