人生100年時代に求められる“未病・予防ビジネス”のいま〈BEYOND 2020 NEXT FORUM〉
順天堂大学医学部教授の小林弘幸氏
がん早期発見の遅れ、うつ病も。コロナ禍で隠れていた課題
セッションでは、まず「医療現場から見た日本の未病・予防医療について」と題し、小林教授がコロナ禍での課題やこれから期待できる分野などを説明した。
新型コロナが未だに猛威を振るうなか、小林教授はその背景に隠れて見えてこなかった部分があると指摘した。一つ目は、病院へ行くのを恐れて検診が遠ざかってしまったことによる「がんの早期発見の遅れ」、二つ目は、自粛生活が長引いたことによる「高齢者の転倒の増加」、三つ目は「うつ病の増加」だという。特にうつ病は、「コロナの始まった頃は、ほとんどの方が“人と会えない”、“コミュニケーションを取れない”という方が多かった。でも最近は、ほとんどが“会社に行きたくない”とか“会いたくない”という方になってきている」と、うつ病患者の状況の変化も指摘。社会活動の多くが新しい生活様式へと変化するなか、これらの隠れ因子は社会にとっても大きな損失であると指摘した。
一方で、コロナによって大きく飛躍したのは、オンライン診療の分野。全国的にシステムが構築されたことで、多くの人がオンラインで受診できるようになったほか、ここ数年での技術の発展は、カメラ越しでも患者の瞳孔、顔色、心拍もわかるようになったとし、ロボット手術などの遠隔医療の希望にもつながる分野だとした。