人生100年時代に求められる“未病・予防ビジネス”のいま〈BEYOND 2020 NEXT FORUM〉
ベンチャー支援に「キングサーモンプロジェクト」?
二つ目のテーマは「自治体や行政の取り組みについて」。荒木氏が都民ファーストの会として健康分野で取り組んだことや、都民から寄せられた健康にかかわる要望などを振り返った。
コロナ禍でもっとも多かった都民の要望として荒木氏が挙げたのが、筋力低下などの「フレイル」の対策。東京都では「TOKYO縁ジョイ!」プロジェクトとして、シニア向けの社交ダンスや囲碁・将棋、カラオケ大会など開催しているほか、身近な地域サークルを紹介することで、高齢者が外に出かけやすくなる機会を作った。また、デジタルを活用した例では、東京都健康長寿医療センターと連携して、脈拍などを計測できるスマートウォッチを配付し、収集したデータを活用することで、健康状態や病気の予兆を把握できるアプリ開発にも乗り出しているという。
セッションでは、医療ベンチャーに対する行政のサポートも議題に。今後は健康分野でもテクノロジーやそれをベースにしたビジネスは必要不可欠だとして、荒木氏は東京都でのスタートアップ支援「キングサーモンプロジェクト」を紹介した。これは東京で卵が孵化して、大海(世界)に出ていった鮭が、成長してふたたび東京に戻ってきてほしいという期待を込めてつけられたもの。都は実証実験の場を提供したり、公共調達に採用することでベンチャー企業をサポートしている。プロジェクトの中には、ウェアラブル機器の開発ベンチャーもあるといい、「スタートアップを応援する体制を首都・東京から進めていきたい」と、期待を込めた。