人生100年時代に求められる“未病・予防ビジネス”のいま〈BEYOND 2020 NEXT FORUM〉

株式会社HIROTSUバイオサイエンス 代表取締役の広津崇亮氏

バイオベンチャー支援に必要なこと

 最後のテーマは「未病・予防分野におけるビジネス展開について」。広津氏が代表を務める「株式会社HIROTSUバイオサイエンス」の事業内容やバイオベンチャーを取り巻く環境などについて議論した。

 がんの匂いを嗅ぎ分ける「線虫」の嗅覚を使ったがん検査「N-NOSE(エヌノーズ)」の開発・販売を行う同社。自宅で採尿するだけで受検が可能だとして、近年注目を集めている。今年1月からは、早期発見が特に難しいすい臓がん検知に役立つ新たな検査「N-NOSE plus すい臓」を開始し、将来的にはほかの部位でもがん種を特定できる検査の実用化を順次予定している。

 長年、嗅覚に優れた生物「線虫」の研究をしていた広津氏。九州大学大学院理学研究院生物化学部門で教鞭をとりながら起業したときは、苦労も多かったという。「残念ながら、支援はほとんど得られなかったですね。やはりベンチャーを取り巻くエコシステムは完成されていなくて、ある程度自力でやる必要があったというところで、困難はありました」と、当時を振り返った。

 これにはファシリテーターの朝日氏がワクチン開発の実例を紹介。世界でさまざまな製薬会社がワクチン開発に力を注ぐのは、ビジネスとして莫大な利益を生むからであり、得た資金はまた新たな研究開発につなげることができるという、ポジティブサイクルが回っていると指摘した。広津氏も「起業したのは技術を世の中に広める目的もありましたが、後輩たちにひとつのやり方を示したかったから」と話し、ロールモデルの存在や、研究者とビジネスをつなげていく体制づくりの必要性を示した。

「BEYOND 2020 NEXT FORUM」は、2020年以降の日本の活性化を目的に、ダイバーシティ、イノベーション、スタートアップ、エンターテインメントなどのテーマのもとで、各界、各世代で活躍中の有識者で構成されるメンバーが中心となって、2019年3月にスタート。その後、内閣府の「beyond2020プログラム」認証事業となり、2020年9月から外務省の後援、昨年9月より改めて内閣府後援も加わり、毎回さまざまなフォーラムを実施している。

 プログラムの模様はYouTube「TOKYO HEADLINE《ACADEMY》チャンネル〈政治・ビジネス・SDGs〉」チャンネル(URL:https://www.youtube.com/channel/UCFlMcnPgoIsGtKetHS9nwkA)で2023年1月28日18時より視聴可能。

「TOKYO HEADLINE《ACADEMY》チャンネル〈政治・ビジネス・SDGs〉」チャンネル
2023年1月28日18時より視聴可能。

https://www.youtube.com/channel/UCFlMcnPgoIsGtKetHS9nwkA
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