〈インタビュー〉タイで武者修行中のPSYCHIC FEVER「達成感のあるセットリストできた」日本でのライブの熱狂を手に再びタイへ

左から、JIMMY、中西椋雅、WEESA、小波津志、半田龍臣、渡邉廉、剣(撮影・小林大起)

 2022年7月にデビューし、EXILE TRIBEに仲間入りした7人組のPSYCHIC FEVER(サイキック・フィーバー)。現在、同じくEXILE TRIBEの一員であるBALLISTIK BOYZと共に、タイのバンコクを拠点に活動を展開中だ。タイに渡って約4カ月が過ぎ、滞在期間も折り返しを過ぎた。現在の手応えや今思うことは? 年末に帰国していたメンバーにインタビューした。

「メンバーが敵になるような瞬間もあれば、家族になった瞬間も」

 2022年の大みそか、有明アリーナは大賑わいだった。行われていたのは「Jr.EXILE EXPO 2022」。Jr.EXILE世代のグループが一挙に集結、さらにはLIL LEAGUE、現在LDH JAPANが展開するオーディション「iCON Z」でぶつかり合う3つのグループ、そして9人組ガールズグループのGirls²と、LDHのこれからを担っていく面々が集まった大型ライブイベントで、タイで活動展開中のBALLISTIK BOYZ、そしてPSYCHIC FEVERも一時帰国して合流。実に約5カ月ぶりとなる日本でのライブパフォーマンスはオーディエンスを熱狂させた。

 本番前にメンバーを捕まえた。久しぶりの日本の感想を聞けば「いやー、寒いです」「寒い寒い」。年上メンバーの剣に至っては日本について初めてしたことは「空港を出て、寒いーーー!って叫びました」と笑う。4カ月間温かいタイで過ごした。「寒い!」と叫ぶことはタイでは一番できなかったことかもしれない。

 タイではメンバー全員で同じ屋根の下で暮らす。ほぼ週1回のペースでさまざまなサイズでライブがあり、それ以外は現地のアーティストと一緒に楽曲を制作をしたり、歌唱やラップ、ダンスなど自らのスキルに磨きをかける。機材を持ち込んで自前のスタジオを作りレコーディングに勤しむメンバーもいる。それをしながらタイ語やタイの文化を学ぶ。その様子は、リアリティーショー『New School Breakin’』としてYouTubeで配信中だ。

 タイでの4カ月。楽しいことや新鮮な経験もあったが、目的は武者修行。ある程度の覚悟をして出発したとはいえ、想像していたよりもキツかったこともある。

WEESA:結果的にいいことにつながってくるんですけど、日常的なことの変化が大きかったです。食事の面でもそうですし、年中暑いとか。生活の面で慣れないことがあっても、そのなかでどう工夫していくか。文化や語学の勉強は結構タフです。

渡邉廉:僕はこのプロジェクトで初めて海外に行かせていただいていて、最初はわからないことだらけでした。いろんな言葉や文化、ご飯もそうですけど、自分の人生の中ですごい濃い経験をさせていただいているなって思います。

:僕はグループのなかで年が上の方なので、メンバーをよく見ているんですけど、自分も含めてですが、やっぱり精神的にキツイんだろうなって感じることはありますね。時間が進んでいくなかで、求められるものは大きくなるし、自分たちが自分たちに期待してる部分もあるし、周りが期待してる部分もある。それについていけない自分のメンタル、そこに乗っかってくる自分のスキル……。日本にいれば辛いときに頼れる人はいると思いますけど、タイには自分たち以外にはいないですから、メンバーが敵になるような瞬間もあれば、家族になった瞬間もありました。振り返ればすごい4カ月でしたが、この感じが僕らの弱さでありながら強みでもあるなって。このちょっとしたデコボコがエネルギーを生み出しているんだとも思うようになりました。

半田龍臣:タフといえば、やっぱり言語の壁です。パフォーマンスの途中でMCする時は、やっぱり英語かタイ語。英語だと伝わる方と伝わらない方がいるので、やっぱりタイ語でないと、見に来てくださる皆さんも、偶然通りかかったような人が足を止めてくださるといった場合も全然伝わらなかったりで……グローバルアーティストを目指す上では絶対乗り越えていけない部分ではあるんですが大変だなって。

小波津志:日本にはないイントネーションの発音でMCをするのは本当に難しいです。最初は「盛り上がっていきましょう!」でさえダメで、現地のアーティストがどうしているか見たり、周りのスタッフにどんな言葉がいいのか聞いたりしながらいろいろチャレンジし続けて、4カ月が経ってようやく少しずつ自分の耳も喋り方にも慣れて、少し伝わってるのかな?っていうのを感じています。

JIMMY:お客さんをどうやって楽しませ続けるかっていうところはタフだよね。アルバム『P.C.F』をリリースしてタイに渡ったので、自分たちの楽曲はリミックスを含めて10曲しかないんです。有難いことに、たくさんステージに立たせていただいていて、何回も足を運んでくださる方もいらっしゃるので、同じものを見ても楽しくないんじゃないかとか、どんなふうに届けたらいいのかって思います。でも僕たちはスキルアップのためにも何回も何回も同じものをやり続けないといけないところもあったり。自分たちの見せ方、それプラス自分たちのことをまったく知らない方々に自分たちの楽曲をどうやって届けたらいいんだろうって、ずっと悩んでました。それこそ、このタイミングで一時帰国するギリギリまで。

:週に1回ぐらいのペースでライブパフォーマンスする機会を用意していただいていて。だいたい20~30分ぐらいなんですけど、みんなでそこに向かって日々やっていく感覚です。

渡邉廉:たくさんイベントにも出させていただくから、もっとこうしなきゃいけないんだっていう部分もたくさん見つかるんですよ。それによって、よりいい方向に進んでる感じはありますね。

半田龍臣:言葉とかを越えて伝えるものって、やっぱり目に見えるパフォーマンスだったり、歌唱力。そっちで伝えていくためのセットリストを作ったり、パフォーマンスについて話し合いをしたりします。その結果、12月の「SIAM MUSIC FEST 2022」では達成感があるセットリストができましたし、ここまでの集大成を見せられるようなパフォーマンスもできたんですよね。

小波津志:これまでで一番いいパッケージが出来たんじゃないかなと思います。自分としても、以前は自分のパート、自分が歌うパートだけを意識しがちでしたけど、それをしつつ、他に歌っている人を際立たせるように、踊っているときでも表情を真顔にしないみたいな、世界で戦っていくための工夫も細かく意識するようになったし、自分の表現の仕方が改めて固まってきた気もしています。

JIMMY :自分たちにとってスタンダードというか、海外で通用するためにはこういう見せ方がいいんじゃないか?っていうのを 1 つを見つけて帰ってこれたのはすごい収穫だったね。

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