性依存女子救うのは…依存を分かち合える男性か、女心を理解する女性か? 内田理央主演『来世ではちゃんとします3』第5話〈ドラマでしゃべりたい〉

イラスト・ミクニシオリ

 内田理央主演のドラマ『来世ではちゃんとします3』(テレビ東京、毎週水曜0時30分)。2月1日に放送された第5話では、主人公の桃江(内田理央)が元カノに心が揺れる本命彼氏の松田くん(小関裕太)と、女性心を理解しているレズビアンの聖羅さん(ルウト)との間で揺れる。

 第4話では圧倒的なポジティブさで場を荒らしてくれた聖羅さんと、松田くんの元カノ・華ちゃん(筧美和子)。四角関係の4人はどうなるのか。

 

男に依存した人生を卒業させてくれるのは……女?

 職場恋愛中だというのに、気まずい空気が流れている桃江と松田くん。喫煙所で久しぶりに話すと、松田くんは元カノがいま暮らしているところへ戻るという日に空港に見送りに行くという。思わず、つらそうにその場を離れる桃江。こういうのもあるから職場は……と思わず頭を抱えてしまう。

 どっちにしろ元カノが海外に行くにあたって、元カレが見送りに行くことなんて普通あるものか?と疑問を感じざるを得ない。これが現実の話なら「元カノとの距離感がおかしい男にロクなやつはいない、そんな男辞めておけ」と桃江に進言したいところだが……。桃江のこれまでのセフレたちに比べれば、松田くんはまだちゃんと話し合える方のキャラなので何も言えない。

 松田くんが元カノとグレーになっているショックで、第4話で久々に登場したレズビアンの聖羅さんに会いに行ってしまう桃江。聖羅さんは女性だからこそ、同性である女性に対する扱いがうまく、桃江の自己肯定感を上手に満たしてくれる。

 桃江の方はレズビアンの自覚はない状態だが……男に頼らず幸せになると決めたのに、聖羅さんになら……とほだされそうになる桃江。どっちつかずに揺れる桃江に、心の中で「大丈夫、男の代用にされるのは慣れっこだから」とつぶやく聖羅さん。不思議な魅力がある聖羅さんだけど、きっとこれまでにつらい思いをしてきたこともあるはず。でも、だからこそ、傷ついてきた者の気持ちを理解し、包み込むこともできるのだ。聖羅さんと付き合ったら、これまでとは全く違う生活が待っていそう。でも、桃江の選択は……。

元恋人との間に揺れる思い。「性依存系男子」の選択は…

 一方の松田くんは、会社を休んで元カノの見送り。職場恋愛しておいて、会社を休んでまで元カノを見送りに行くなんて、ぶっちゃけありえないが……。仕事が終わって、屋上で1人泣く桃江のもとに、遅れて登場した松田くん。「住む世界が違うことを実感した」と、元カノを振ったことを桃江に伝えた。

 このセリフも、聞きようによっては「やっぱり元カノのがレベルが上なんだ」とも聞こえるセリフだけど、不安定になっていた桃江には十分すぎる“ただいま”の言葉。その後、2人は……。来世ちゃんにはこれまでなかった「純愛」シーン。これで2人は、幸せになれるのだろうか。

 第4話では自己肯定感が高くポジティブに見えた松田くんの元カノ・華ちゃん。元カレに振られて、1人で異国へ帰路に着くのは、どんな気持ちだろう。聖羅さんも華ちゃんも、志と意思のある女性に見えるが、今回は「強くあろうとする女性」の苦悩も見えた。態度には出さなくても、誰しもがんばっていること、つらいこともある。

 自分の夢のために、元カレを振り回してきた華ちゃん。でも、心のどこかには「自分で決めたことなのだから、道半ばで諦められない」という思いがあるはずだ。松田と別れた後1人泣く華ちゃんには、聖羅さんと重なる部分も。

 桃江の前で弱い部分を見せない聖羅さん、そして松田くんには涙を見せない華ちゃん。強い女性にも苦悩があるし、彼女たちのことも、包み込んでくれる人がいるといいなと思った。立場の違い、志の違い、セクシャリティの違い。居心地のいい人をパートナーに選びたいだけなのに、この世には見えない障壁が多すぎるなとも思った。

 

(文・ミクニシオリ)

1992年、茨城県生まれ。フリーライター・恋愛コラムニスト。ファッション誌編集に携わったのち、2017年からライター・編集として独立。エンタメ・恋愛・ライフスタイルを中心に執筆活動を行う。インタビューや匿名取材、街頭取材経験も多いノンフィクション系ライター。若者恋愛トレンド評論家としてネットTV・地上波バラエティなどに複数回出演。