黒田勇樹が男女共同参画を実践。夫演出、妻主演、稽古は子連れで新作公演「シン・デレラ」〈インタビュー〉
問題は安全面。子供にケガをさせたらダメ
子供を好きか嫌いかというのはそれぞれの考えの中で持つのは自由ですが、そういう現場が増えることで“俺、子供ダメなんだよね”とは言いにくくなる。そうなると育児をしながらも女優が復帰しやすくなりますね。
「ここで問題になるのは好き嫌いというより安全面ですね。安全面を守れるか。2人とも俳優だったらできなかったと思う。もっと掘り下げると、裏方さんは子供を連れてきてもいいのに、出演者は子供を連れてこれないのか?ということにもなりかねないので、まだ全然テストケースだと思っています。うちでやってみて、いいことも問題点も出てくると思うんですが、次に同じことをやろうとしている誰かのいい材料になればと思っています」
確かに「うちもやってみよう」という人は増えてくるでしょうね。
「そうですね。でも、例えば殺陣の稽古をしている最中に子供を歩かせていて、ケガをさせたらダメなんです。今回も本当は本番で客席に子供を入れてもOKにしたかったんです。お客さんが子供を連れてきてもいい日を作りたかった。でも演劇って未就学児童はダメなんです。これは劇場内の配線だったり、劇場の構造といった面で安全の確保が間に合わないので、今回はできないということになりました。なので話し合いで稽古までということになった」
演劇が未就学児童がダメというのは突然泣き出したりといった理由だけではないんですね。
「そういうことへの配慮もありますが、もう一つ安全面という理由もあるんです。それは僕も勉強になりました」
今回、奥さんを起用するにあたり家庭内ではどういう話し合いが?
「そもそも“ちづるちゃん主役で作品ができたらいいなと思っているんだけど、その時、息子を連れてやれるかな?”といった話をしていたんです。その時は超やりたそうな顔をしていて“女優だな”と思いました(笑)。これは女優と結婚した男の責任です」
いざやってみて、どうですか?
「家では“段取りがつくまでは演出家のほうが偉くない?”って話したりするんですが、お互いにイニシアチブの取り合いです(笑)。どっちが家事の何をするか、どっちのためにどの時間を使うか、とか」