黒田勇樹が男女共同参画を実践。夫演出、妻主演、稽古は子連れで新作公演「シン・デレラ」〈インタビュー〉
稽古がうまくいかなかったときの対策も準備
稽古場では演出家と女優、家に戻ってもその状況が続く。これは精神的にはどう?
「地獄みたいです、お互いに(笑)。だから年に1回かな?とは思うけど。でも、僕は彼女はいい女優さんだということを知っているので、彼女が舞台に立たないというのも違うと思っていてるんです。ただその一方で、あくまでも作品はチケット代を払ってくれるお客さんのためのものなので、最悪、稽古がうまくいかなかったら預かってくれる人は用意しているんです。彼女にも“自分の役はずっと自分でやりたいだろうけど、段取りが決まるまでは君は外で子供の面倒を見ていて、代役で段取りをつけるということも覚悟しておいてほしい”ということは伝えました。めっちゃ悲しそうな顔をしていましたけど、それはリスクヘッジ。お客さんファーストで考えたらやらなければいけない。これについては綿密に話し合いました」
まだ稽古が始まったばかりだが、やれるなという感覚はある?
「あります。みんなが自分たちが手応えがある芝居ができたときは、きちんとうちの子供が見ている(笑)。大人も自分の中に子供がいるじゃないですか。みんな大人のふりをして静かに見てくれているだけ。本当はつまらない時は“うわーっ”って言いたい人たちが見ているということを意識できている稽古場なのはとってもいい。明らかにうちの子にウケたときはみんなうれしそうじゃなかったですか? 演出家としてはあの感覚を味わえることにとてもメリットを感じています。あとは妻がお芝居をしている姿を見れているのもいい。で、最後はそれが独りよがりにならないために、馬鹿みたいに面白い芝居を作らなければいけないという責任がベットした分だけ自分に降りかかっている、という感じ」
黒田さんの背中にいて、ピリッとした時にそれが背中越しに伝わって子供が泣くということはある?
「そうですね。あると思います」