「チョコレートをどんな基準で選ぶ?」カカオ農家を例に、浜松市の生徒たちがSDGs学習
一人ひとりの行動で未来は変えられる
若林氏は、こうした格差は“誰もが未来を選べる公正な世界”ではないと指摘し、「現状と目標のギャップを埋めるために、私たちに何ができるのかを考えてみましょう」と提案。児童労働の背景には、生産者の低賃金や人手不足、学校教育の重要性に対する理解不足、教育機会の欠如などがあると解説した。生徒がひとりで、アフリカに学校を建てたり、大人に教育の重要性を説いたりすることは難しいが、「お金がきちんと生産者に届く買い物をすることはできる」とし、国際フェアトレード認証のマークを例として紹介。国際フェアトレード認証は、最低価格の保証や教育支援などに活用ができるプレミアムの支払い、児童労働・強制労働の禁止、環境に配慮した生産方法の導入など、生産者の暮らしが守られていることを確認し、認証する仕組みで、フェアトレードの商品を購入することで、子どもたちの未来の選択肢を広げられることを伝えた。
その上で、浜松市が「フェアトレードタウン」としてフェアトレード商品が購入できる市内のお店を掲載したマップを作成していることを紹介し、「みんなの学校の近くにもフェアトレード商品を売っているお店がある。一人ひとりの行動で、生産者の暮らしを守る買い物をすることができる」と、生徒たちに行動を呼びかけた。
最後に、世界には児童労働だけでなく、食糧不足や差別、海の汚染など、解決すべき問題がたくさんあり、その問題解決を促進するために誕生したのが「SDGs」だと解説。目標達成に向けて活用できるステップを紹介したほか、17番の目標「パートナシップで目標を達成しよう」が示すように、多様な人たちと協力していくことの重要性を伝えた。生徒からは「フェアトレードマークについて興味を持つことができた。家族にも知らせていきたい」と、感想が語られた。
デロイト デジタルの宮下剛氏は「今日の学びは二つあったと思う。ひとつは身近なものから考えることが大事ということ、もう一つは今日学んだことをお友達や家族に話してみるということ。自分の言葉で話してみることで、より理解が深まるもの」と話し、生徒たちにアクションを起こす大切さを伝え、会を締め括った。