都医師会・尾﨑会長、新型コロナ「5類」へ「段階的に移行していただきたい」その課題は?
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が、5月8日から季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行される。東京都医師会は14日、都内で5類への移行に向けた今後の課題について定例記者会見を行った。
尾﨑治夫会長は「いきなり5類ということはやはり難しい。段階的に5類に移行していただきたい」と切り出し「5類に移行すれば診療・検査医療機関以外の多数の診療所が新型コロナを診るようになるという一部の推測もありますけど、私はそういうふうには考えておりません」と断言。
その理由を「新型コロナはインフルエンザに比べ、空気感染や飛沫感染を含めて感染力が非常に強い。たとえば私のクリニックでもほとんどの患者さんを60~90代が占め、基礎疾患を持った高齢者が集まっている待合室に、もしも時間・空間的な分離をせず新型コロナに感染した恐れのある人が入ると、そこでクラスターが起きてしまう。少なくとも今の超高齢社会の日本で、内科や小児科などの診療所で動線を分けないで新型コロナを診ていくことは不可能に近い」と指摘した。
尾﨑会長は改めて「診療・検査医療機関以外の診療所が今まで以上に積極的に新型コロナを診療することは現実的には大変難しい」としながらも「動線を分けられなくて発熱患者さんを診ることができない診療所は、“うちでは診られません” で終わらないようにして、患者さんをきちんと診療・検査医療機関につないでいただく。情報提供して紹介することを徹底してやっていただきたい」と注文をつけた。
マスクの着用は3月13日以降、屋内外問わず個人の判断に委ねられるが「屋外については必要ないと思っている」と述べつつ、屋内では「しっかり換気をして空間に漂うウイルスが速やかに流れていくこと、空気清浄機などを置いてウイルスを除去していくことといった環境整備があれば、新型コロナ感染症が起きる確率はかなり低くなる」として「換気状態や空気清浄機能を明示し、来訪者に情報提供しながら “マスクを外しても比較的感染しにくい空間を作っている” ということを伝えていただくのがよろしいのではないか」と提案。
5類に移行してからも「高齢者・基礎疾患のある方・妊婦の方・小学生以下のお子さんについては(発熱があれば)診療・検査医療機関に行ってきちんと診断し、療養していただくことが大事」といい「若い方は自主的に検査して療養することになると思うが、たとえばインフルエンザは “診断され治療が始まってから2日間は自宅療養する” といった基準があって会社や学校を休む方が多い。新型コロナについても今後は休む目安、療養の目安といった何らかの基準を定めていただいたら療養しやすいのではないか」と提言した。