ワールドツアー上映『鬼滅の刃』米ロサンゼルスで舞台挨拶 世界市場をどう取り込めるか

 コロナ禍で社会現象になる大ヒットとなったアニメ『鬼滅の刃』。「週刊少年ジャンプ」で2016年2月〜20年5月まで連載されていた漫画で、全23巻のコミックスの累計発行部数は1億5000万部を突破している。

2月3日から公開中の『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』

『鬼滅の刃』は大正時代を舞台にした和風ファンタジー作品。主人公・竈門炭治郎(かまどたんじろう)の家族が鬼に殺され、そして鬼にされてしまった妹・禰豆子(ねずこ)を人間に戻すため一緒に旅に出るという物語だ。

 2019年の4月〜9月末にかけて第1期となる「竈門炭治郎 立志編」がテレビアニメ化されて以降、これまで幾度となくアニメ化されている。地上波では第2期の「無限列車編」と「遊郭編」が21年12月〜22年2月まで放送され、23年4月からは第3期となる「刀鍛冶の里編」の放送が予定されている。

 アニメの主題歌を歌ったLiSAは、2019年、20年、21年のNHK紅白歌合戦に出場し、いずれも『鬼滅の刃』の主題歌を披露。また、主人公の「竈門」つながりから九州各地の「竈門神社」にファンが「聖地巡礼」する動きも見られた。

 中でも、特に記録を残しているのが劇場版での展開だ。20年10月に公開された『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は歴代映画の興行収入で404・3億円に上る。それまで1位だった宮崎駿監督作品『千と千尋の神隠し』の316・8億円の記録を100億近く塗り替え、堂々の1位に躍り出た。

 国内だけでなく世界でも大ヒットし、全世界の興行収入は517億円を記録。米データサイト「ザ・ナンバーズ」によると、2020年公開の映画として全世界の興行収入1位に輝いた。歴代でも『無限列車編』は世界で最も見られた日本映画となったのだ。

 この金字塔を打ち立てた劇場作品の続編が、2月3日から全国で公開されている。『「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』というタイトルで、テレビアニメ第2期の「遊郭編」第10話・第11話と、第3期の「刀鍛冶の里編」第1話の内容を110分の映画仕立てにしたものだ。さらに、画質は劇場クオリティーとなっており、テレビアニメ本編映像が全編4K画質に引き上げられている。

 国内だけで418の映画館で公開されており、これは『無限列車編』の403館よりも多い規模だ。特筆すべきは「ワールドツアー上映」と銘打っており、日本を皮切りに80以上の国と地域で公開する世界展開を打ち出している。アメリカでは公開が決まっており、全米1700館で上映される予定だ。また、通常は国内のみで終わることも珍しくない出演声優や製作スタッフによる劇場舞台挨拶も「ワールドツアー」となっているのが特徴だ。

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