世界で唯一の椅子も!北欧の名作デザイン300点以上がそろう日本橋「北欧デザイン展」

 北欧の名作椅子やインテリアアクセサリー、食器など総勢70名以上のデザイナーの300点以上の作品を展示する「ていねいに美しく暮らす 北欧デザイン展」が日本橋髙島屋 S.C.にて開催中だ。椅子研究家で東海大学名誉教授の織田憲嗣氏が研究、収集し、北海道東川町が所有する「織田コレクション」の全貌に迫る初の展覧会をリポートする。

左より世界に2点のハンス・J・ウェグナー(デンマーク)《ザ・チェア プロトタイプ》1949年、《ザ・チェア 革張り》1950年、手前が笠木

 北欧では19世紀末から「美が人生を豊かにする」という考え方が浸透し、有機的で美しいデザインプロダクトにはそうした暮らしや思想が強く影響しているという。会場には「織田コレクション」の約8000点の収蔵品から厳選した約300点を展示。世界でも希少な作品や椅子などの家具をはじめ、インテリアアクセサリーから食器まで幅広いジャンルを5つの章に分けて紹介する。

 会場入り口では、オイバ・トイッカ(フィンランド)がデザインした「イッタラ/ヌータヤルヴィ」のガラスの鳥たちが迎えてくれる。

 第1章「椅子と生きる ~Chairs for life~」では、北欧デザインを代表する名作椅子をデザインの流れに沿った形で展示。ハンス・J・ウェグナー(デンマーク)の名作椅子「ザ・チェア」の2点だけ製作されたプロトタイプや笠木のデモンストレーションモデル、「ピーコックチェア」のプロトタイプなどが展示されるが、織田氏は「デザインの系譜として、本当はピーコックチェアの前にリボーンチェアという椅子があるのですが、スペースの関係で今回は展示できませんでした」と悔しがる。

 会場内にはパーソナルチェア+小テーブル+照明器具を組み合わせた「コージーコーナー」が複数箇所に設置され、 “自分の居場所” としてのパーソナルチェアの役割が実感できる。

 第2章「デザインの源泉 ~Design beginnings~」では、北欧各国を代表するデザイナー10名の作品を特集して展示。デザイナーごとに特徴や美意識の違いはありつつも、北欧らしい有機的なあたたかみのあるデザインが共通している。タピオ・ヴィルカラ(フィンランド)を紹介するコーナーでは、織田氏が「この2つのケースは、イタリアのヴェニーニ工房で製作されました。ボーレというシリーズは吹きガラスを途中でつないだもので、大変高度な技術を要します。2つ目のケースは、よく近づいて見ていただくと細い色ガラスの線が入ってグレーのような、紫のような色合いを生み出しています」と解説。

左よりタピオ・ヴィルカラ(フィンランド)《ボッレ》1967年、《フィリグラーナ・ディ・タピオ》1970年、《パボーニ》1981-82年
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