東出昌⼤「真実は見る角度を変えればさまざまに変わるもの」スタッフから案じられるほど役に没入
公開中の映画『Winny』の舞台挨拶が11日、都内にて行われ、W主演の東出昌⼤と三浦貴⼤、共演の和⽥正⼈、松本優作監督が登壇。東出が役どころに没入するあまりスタッフから「この作品が終わったらどうなるのか」と案じる声が上がるほどだったと明かされた。
簡単にファイルを共有できる革新的なソフトとして注目を集めながら、作品の違法アップロードなどを招き、開発者・金子勇氏が逮捕された実際の事件の映画化。
Winnyの開発者である故・金子勇氏を演じた東出。金子氏の人物像について「生前の金子さんを知る人方で、金子さんのことを悪く言う人がいない。金子さんも人のことを悪く言ったり愚痴ったりすることが極端に少ない人だったと伺いました」と言い「こんなに素晴らしい、純真無垢な方を演じられることはなかなかない」と特別な役との出会いを振り返った。
撮影中にスタッフから、この作品が終わったらどう生きていくんだろうと思われるくらい役に向き合っていたという東出。人物像をどうつかんだかと聞かれると「僕も愚痴らないようにしよう、とか日常から心がけたり。あとは、金子さんがプログラミングに没入して、それしか表現のすべがなかったように、自分も芝居しかないと思って臨んだので、その辺りが周りのスタッフさんから“こいつ、この役が終わったらどう生きていくんだろう”と思われたところかもしれない(笑)」と照れ笑い。
金子を支える弁護⼠・壇俊光を演じた三浦貴⼤も「2人のバディ感は、東出くんが撮影現場でもずっと金子さんでいてくれたからこそできたこと。ずっと猫背だったり。今日、久しぶりに見たら背筋がピッとしてた(笑)」と東出とのバディを振り返った。
締めの挨拶で、東出は「クランクインの前に(金子氏の)お姉さまが“出る杭が打たれない社会になってほしい”とおっしゃっていました」と振り返り、金子氏に有罪判決が出てからの7年「ご遺族の方には不名誉のようなものがついて。7年といわずこの20年、そういう心苦しい思いをなさっていたのかな、と。そのお姉さまが“世の中には不条理が満ちあふれていると思って金子勇という人物を胸の中にしまっておいたのに、それがこのような形で表に出ることは奇跡”とおっしゃってくださった。真実は見る角度を変えればさまざまに変わるものだと思いますが、この『Winny』の真実が1人でも多くの方に伝わったら」と切々と語っていた。