ARレンズで防災 準備とシミュレーションで自分を守れ
「洪水シミュレーションレンズ」は、スマホをかざした場所が浸水した時にどうなるのか、30センチから1メートルまで見ることができる。高荷氏は「洪水という名前を付けていますが、見てもらいたい災害としては、津波、高潮、洪水など沈む系全般。沈んだ時にどういった被害が出るのかをイメージしてほしい」という。
ただ、一番の狙いはハザードマップを見てもらうことだと言う。
「水害はハザードマップによってほぼすべての被害が想定されています。想定外の災害が起きているといいますが、そのほとんどはハザードマップで想定されているのに、知らなかった、見ていなかったという事なんです。自宅や学校が沈む、沈んだ時にその場に留まると命に関わるという時は逃げる。もっともっとハザードマップを見るべきなんです。ただ、数字の情報だけではイメージが湧かないので、こうしたARレンズを一緒に使ってほしい。自宅が1メートル沈むと知った時に、どんな感じになるのかを見れば、逃げようとなると思う。イメージをつなげるツールとして使ってほしい」
「日本は災害の多い国で、いつでも誰でも被災者になる可能性がある国」と、高荷氏。だからこそ、防災や災害に関する情報を得る方法、技術も充実しているが、それがうまく活用されていない状況だという。
なぜ活用されないのか、情報を調べないのかといえば、「楽しくない」からだという。
「防災を頑張ってもハッピーにならないし、生活に潤いをもたらさない。世の中にはいろいろと楽しいコンテンツであふれています。スマホを使って情報を得るならば自分がポジティブになれるような楽しい情報を取りに行きたい。でも防災という情報は、ものによっては取ればとるほど疲れてしまう、悲しい気持ちになってしまう。
それに、若い世代は意識しなくてもなんとかなってしまう。体力もあり機敏に行動もできるので多少の災害は乗り越えてしまう。ただ、その多少の災害を超えてきた場合は知識があるかどうかで生死が変わってくる。本当はもっと自分事として災害や防災の情報を知ってほしいです」
「楽しい形で防災の意識が高まるようなレンズを作りたいと思った」と、Snapchat Japanの長谷川倫也代表。「実際に火事や災害が起きたとき、スマホをかざしすのではなくて、まず逃げる。どれだけ技術が発展しても、実際に起きたときに技術が手助けできることって……もしかしていつかスートフォンがコンタクトレンズぐらいになって、いつも避難経路がオーバーレイするみたいな世界になったら少しは役立つかもしれないけど、今現在はできない。事前に火事や地震が起きたらこうすればいいというのがある程度分かっていることで、少しでもパニックにならない、心の余裕があるみたいなところだろうと思った」と、話していた。