都医師会、5類移行でも「東京ルール下がり切らないのが大問題」臨時医療施設の常設を進言

高齢者施設の現状について訴える平川博之副会長

高齢者施設の現状に危機感「見えている景色が違うのではないか」

 続いて、平川博之副会長が高齢者施設の現状を「(5人以上の)クラスター発生状況を持ち上げているのは高齢者福祉施設で、クラスター=ほぼ高齢者福士施設と言える。6波から7波の間、7波から8波の間に新規感染者数が減っている時期があり、その後に再びピークが訪れることを我々は何度も経験しており、今の状況がいつまで続くかはまったく予想がつかない」と説明。

 全国老人保健施設協会が行ったアンケートによると、昨年2月から1年間の感染状況について「相変わらず高齢者施設では20名以上、中には100名を超えるクラスターが発生している。一旦、ウイルスを高齢者施設に入れてしまうと手の打ちようがなく、結果死亡者数がうなぎ上りになってわずか1年で1000人以上の方が老健施設で亡くなっている」と危機感をあらわにした。

 現在、高齢者施設での感染者は施設内療養が基本だとして「高齢者施設では3年、4年、5年、中には10年の間一緒に生活しており、スタッフと利用者の関係は身内か自分の親のように思って介護している。そういった方が新型コロナに感染し、入院できずに施設内で看取ることになるのは、スタッフにとって一般の医療職より思い入れや傷つきが深いのではないか。これが高齢者施設で今、見えている景色だ」と平川副会長。

 第1波から第8波にかけ、新規陽性者数と重症者数は第6波以降は減少傾向にあるものの「第7波、第8波で明らかに死亡者数が増え、そのほとんどが高齢者というのが現実。今回、世の中は5類に移行するが、高齢者あるいは高齢者施設にとって5類の対応で大丈夫という根拠がない。おそらくこれは普段見ている景色が随分違うのではないか」との見方を示した。

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