実務者や経験者が高校生に説く。アントレプレナーシップを身に着けるために必要なものは何か?
続いて行われた「高校生が新しいことに挑戦するためには」をテーマに行われたパネルディスカションには鈴木寛氏(東京大学教授)、平原依文氏(HI合同会社 代表/青年版ダボス会議 One Young World 日本代表)、椎木里佳氏(株式会社AMF創業者・代表取締役社長/NHK中央放送番組審議会委員)、源田泰之氏(ソフトバンク株式会社 人事本部長・総務本部長/孫正義育英財団 事務局長)が登壇。こちらも朝日氏がモデレーターを務めた。
ここでは朝日氏の「高校生が新しい挑戦するためにはなにをするのか、もしくはどういうことをしないほうがいいのか?」という問いに鈴木氏は「しないほうがいいことは、今の流行を追わない。ベンチャーとかはもう古い。それよりももっと変なことをやっている奴のほうが希望がある。東大法学部が行き始めるとその会社は右肩下がり。スズカンゼミでも言っているがGAFAMは半分つぶれる。1995年から2000年くらいにあった、初めてネットサーフィンができるようになった会社でネットスケープという会社があったが、もうない。それくらい30年経つと業界は一変する。今の流行を追うのではなく、10年後、20年後、30年後の波を狙わないといけない。時流を追わない。次の波を作る。未来を予想する最高の方策は自らそれを作り出すことだとエンゲルバーガーが言っている。予想するな。だからくだらない大人の話を聞くな。くだらないメディアを読むな。年を取ると感が鈍って来る。10代20代の勘は正しい。教えてもらっている。スズカンゼミでは高校生から教わっている。50代の言っていることだけは外れる。そこだけは確実」と辛らつな意見。
平原氏は「しないほうがいいのは正解探しをしないこと。正解がないことに対して自分はどう考えていくのかと内省していくことが大事。自分の言葉で話せるようになったり、見つけられるようになる。だから正解探しをしない。してほしいのは、失敗はたくさんしてほしい。失敗は成長痛と思っている。失敗は経験として残っている。失敗は成功以上に心に刻まれる。成長痛だなと思って突き進んでほしい」、椎木氏は「嫌いなことを見つける。好きなことを見つけてくださいと学校で言われる。好きなことは多すぎて分からない。学生の頃に好きだったことが今でも好きかというと全然好きではない。興味とか好きなことは10年続かない。それについて一生懸命頑張るよりも嫌いなものを軸として持つ。私の場合だと、セクハラされても一緒に仕事をしたいと思わないとか。どんなにこの人と仕事をしたいと思っていても、そういうことをされたら手を切ろうとか、というふうに自分の中に軸を作ると、どういう状況になっても軸がぶれずに済むのではないかと思っている」、源田氏は「こういう人になりたいと思うのはいいが、こういう人にならないといけないと思う必要は全然ない。挑戦したかったらすればいいし、しなければいけないことは全然ない。自分自身がやりたいことが見つかってきて、それに向かって情熱をもって取り組むのはいいことだが、それがないとダメだという話では全然ない。自分が興味や関心があったり、ワクワクできることを探すために、いろいろな人と話をしたり旅をしたり本を読んだり。そういうことをしながら自分が情熱をかけられるものができたら挑戦すればいいと思っている。挑戦すると失敗が怖いと思うかもしれないが、びっくりするくらい大した失敗はできない。バカなことは周りがちゃんと止める。それでもやり抜きたいという情熱があれば道は開けると思う。今日はみんなすごい方ばかりいて、影響を受けるのはいいが、こうなれない自分はダメとは1ミリも思う必要はない」などとそれどれ語った。
参加者からの「リーダーシップ性のある人間とは?」という質問には源田氏は「私が思うリーダーシップには“この人と一緒に働きたいか”というシンプルな問いがある。リーダーシップのある人は周りを引き付ける魅力などがある。単純にこの人と働きたいと思われるような人物になるには、どういう行動や言動を取ればいいかということを考えればいいと思う」、椎木氏は「10年、ほぼ一人で会社をやっていたので特にリーダーシップは必要なかった。たまにインターンの子を入れていた時に、リーダーというのはカリスマ性があって、トップダウンで行くんだと思ってやっていたら、みんな辞めてしまった。これは変えないといけないと思って、共感するということを大事にしている。今まではアドバイスをするのがリーダーだと思ってやっていたが、上下関係というより、お互いに1対1の関係性で話すということを意識したら誰も辞めなかった。共感力を意識してやっている」、平原氏は「社長とか社員とか関係ないと思う。いかに人としての対話をしていくかと、弱音を吐くかとか。リーダーって強くあるべきとかあるが、そうなると“あの人、一人でできる”と思われてしまって。でもそんな人はいない。それぞれみんなできることがあるからこそ、あえて“不得意なのんで助けて”とか言っている。弱音を吐くということと話を聞くということ」、鈴木氏は「絶対最初はうまくいかない。エラーなくしてランなしだし。年よりの冷や水で言っておくと、起業は目的ではなく手段。やりたいことがあって、そのためには起業がいい時もあるし。起業じゃなくてもいい時もある。金を集めたいのか人を集めたいのか。人を集めたいなら起業しなくても友達を作ればいい。そこはもう1回考えてみたらいい」などとアドバイスした。