実務者や経験者が高校生に説く。アントレプレナーシップを身に着けるために必要なものは何か?
第2部では冒頭、出雲氏が「アントレプレナーシップをもって高校時代を過ごす楽しみ」というテーマで講演を行った。
出雲氏は大学1年生の時に初めて行った外国がバングラデシュで、自分の人生観や価値観など何もかもが変わったという。そこで子供たちの栄養失調問題を目の当たりにしたことから「日本に帰って栄養の、食料の勉強をしよう。日本で一番栄養満点の食料を研究してバングラデシュに持っていくぞ」と一念発起。そこで出会ったのがミドリムシ。しかしミドリムシを培養することは難しく当初は失敗続き。500回もの実験を重ね、ついに成功した。
そしてバングラデシュの子供たちの栄養失調を解消した出雲氏は「こんなに楽しいことない」とみんなにアントレプレナーになってほしいのだが、日本はアントレプレナーが世界で一番少ない。その理由を「アントレプレナーシップが伝わっていない。アントレプレナーシップとは何か。一番大事なのは一番にこだわるアニマルスピリット」という。「一番にこだわるのは競争している限り最も大事なこと。これはスタートアップだけではなくて」。そして「日本で1番高い山は富士山。では2番は? 日本で2番というのはこの世に存在していないと一緒。誰も応援してくれない」と定義したうえで「では1番になるには何が必要か? お金持ち? 特別な才能? いい家柄、コネが大事? 僕はミドリムシを研究するお金も、特別な設備も才能もなかった。日本で一番何の特徴もないニュータウンの中流家庭で育ったが、世界一のミドリムシの会社を作ることができた。お金がないとか東京じゃないとか才能がないとか家柄がないというのは全部ウソ。アントレプレナーに、チェンジメイカーに、リーダーにイノベーションを起こすために必要なものはなにか? 1回では奇跡は起きない。99%失敗する。2回やったら、2回失敗するのは0.99の二乗。1から引いたら1.99%。繰り返していって100回やったら64%になる。459回目に数字が逆になる。1度やって99回失敗するというのは459回繰り返したら99.9%うまくいくというのと同じ意味。世の中いかに努力する人が少ないか。成功するために必要なものは何か。適切な科学と繰り返し努力する力。この2つの掛け算ですべての人が必ず成功することができる。奇跡を、イノベーションを起こすことができる。1回や2回の失敗であきらめないでください」などと語った。
ワークショップの様子(撮影・三田春樹)
その後に行われたワークショップでは、高校生を対象にスタンフォード大学で生まれた「Design Thinking (デザイン思考)」を学ぶグループワーク・プレゼンテーションを実施した。
ここでは高校生と参加者と大学生のファシリテータ―が2人で1組となり「デザイン思考を体験してもらう」「デザイン思考について学ぶ入り口を作る」ことを目的に行われた。互いにインタビューをし、相手を知って共感するところから始め、そのニーズをつかみ取りアイデアとして起こす。そこからフィードバックした意見をもとに解決策を考え、プロトタイプを作り、またここでもフィードバックした意見をもとに、よりブラッシュアップするという作業を行った。