平和を実現するためにどうする? 国内外の子どもたちが膝を突き合せ考える〈国連を支える世界こども未来会議〉
世界の子どもたちが集まって平和で豊かな世界について考える「第3回 国連を支える世界こども未来会議(The Children’s Conference of the Future in Support of the United Nations)」が19日、有明のミニチュアテーマパーク「SMALL WORLDS TOKYO」で開催された。会議には国内外から14カ国約60名の子どもたちが参加し、10のグループに分かれ、平和や平和へのアプローチについてそれぞれの考えを交換したり、音楽ライブを楽しんだりして、交流した。
会議は、SDGsや社会問題を「知る」=グループワーク、未来について「考える」=グループワークとディスカッション、そして考えや思いを「伝える」=発表で構成。この日は、「SDG ゴール 16. 平和と公正をすべての人に~平和な世界をつくるためには~」がテーマで、ジャーナリストの堀潤氏が自身の取材を通して伝える平和の講義を聞き、グループワーク。平和を実現するために必要なことは何かと考え、最終的にグループの考えをまとめて発表した。
自己紹介やグループ内でのディスカッションを進めやすくするために使用されたのが「ウェルビーイング(well-being)カード」だ。「ウェルビーイング」は国内外でSDGsの達成への動きが強まる中で生まれた考え方で、自分らしくいきいきと生きるあり方や心地よくいられる状態を示すもの。カードは自分自身や周囲の人が「ウェルビーイング」に意識を向けて、対話を促すツールとしてNTTコミュニケーション科学基礎研究所が作成した。
この日用意されたカードは全部で18種類。「挑戦」「思いやり」「自然との繋がり」といった「ウェルビーイング」を実現するため必要な要素が記載されており、それぞれの項目は「I(自分のこと)」、「WE(近しい非特定の人との関わり)」、「SOCIETY(より広い不特定多数の他社を含む社会との関わり)」、「UNIVERSE(より大きな存在との関わり)」の4つのカテゴリーに分類されている。
子どもたちは、カードの中から「友情(Friendship)」「愛(Love)」「Being Considerate(思いやり)」「生命・自然(Life and Nature)」といった自分が最近うれしいと感じたことや幸せを感じたことに合致するものを選び、例を挙げながら選んだ理由を説明してウォームアップ。そして次は平和を実現するために必要なことを改めて選んで同様にディスカッションした。
グループ内でのディスカッションは英語と日本語のミックス。日本語もしくは英語しか理解できない子どもたちは、コミュニケーションサポーターの手助けを受けながら、お互いの意見を共有。「信頼(Trust)がないと始まらない」「その意見は他の考え方につながるね」など考えを交換し、お互いの意見に大きく頷いていた。
最終的にグループの答えとして1枚のカードを選び、その意見をパネルにまとめて発表。発表は、英語と日本語、そしてイラストを交えて行われた。英語ができる人、日本語ができる人それぞれの特性を生かしてプレゼンテーション。「平和のためには“思いやり”を持つことが必要。お互いを信頼したり共感したりできるようになるからです」、「重要なのは希望。ポジティブになることで自信を持つことができて行動をしようという気持ちになる。その挑戦を達成した時に平和になると思う」、「平和の前にまず友情。コミュニケーションや愛、信頼といった他の人間にとって大切なコンセプトにつながっている」、「社会のルールが必要」「信頼」といった、さまざまな意見に子どもたちは真摯に耳を傾けていた。
各グループの発表には大人たちがハッとさせられる場面も。カードのなかから1番大切だと思うことを決めるのはおかしいという意見だ。「人間が感じることはカードの数よりももっとたくさんあるし感じることや考えることはひとり一人違います。大切なのはひとつの決まった枠にとらわれることなく自由に発言すること。それが多様性を認めることでもあります。このような考えを自由にみんなが持てたらさらに可能性が広がる世界になると思う」との意見に大きな拍手が贈られた。
子どもたちが話し合ったアイデアは、7月に国連本部に届けられる予定だ。