東京都で急増する「梅毒」とはどんな病気?症状が消えてもひそかに進行する性感染症
東京都内で慢性の感染症「梅毒」の感染者が急増している。昨年の患者報告数は過去最多の3677人を記録し、年齢別で男性は20代から50代、女性は20代の報告が多い。こうした状況を受け、都では3月に「東京都とくべつ検査」として無料の臨時検査場を設けている(24日まで)。「梅毒」とはどのような病気なのだろうか? 東京都医師会理事で感染症担当の川上一恵先生に聞いた。
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「梅毒」の原因菌「梅毒トレポネーマ」(写真:Science Photo Library/アフロ)
現在、東京都の「梅毒」の感染状況は?
「梅毒」の過去10年間の報告数を見ると、昨年が3677人で圧倒的に増えており、今年に入っても3月12日までですでに693人が報告されています。全国的にも増えているのですが、コロナ禍で海外からの流入が少なかったにもかかわらず、東京都では顕著に増加しています。海外のデータを見ると「梅毒」の感染者数は1995年以降抑えられており、輸入感染症だと麻しん(はしか)や結核もありますが、新型コロナウイルス以外の感染症で増加傾向にあるのは「梅毒」だけ。さらに、男性に比べて女性の感染が増加していることも懸念材料です。
東京都の「梅毒」感染者は昨年、過去10年で最多を記録した
原因ははっきり分かりませんが、年齢階級別・性別報告数を見ると20代女性の割合が圧倒的に多い。これは恋人ができて結婚を意識する年齢層にもあたり、必ずしも風俗産業の従事者や利用者というわけではなく、ごく一般的な生活をしている人の中に「梅毒」が入り込んでいると考えられます。「梅毒」の特徴に一時的に症状が消える期間があって、それが検査や治療が遅れる原因のひとつにもなります。症状が消えても治ったわけではなく、体内に菌が残されているので感染拡大につながりやすいのです。