豊島区制90周年ファイナル企画「ダイバーシティ」をテーマに猪狩ともか、鈴木おさむらがトークショーを開催
岸田さんは車いすの母親と一緒にいる時の経験から「障害のことを話すときに、思いやりとか優しさとかいわれる。それは大事だが、“慣れ”ってめっちゃあると思う。ニューヨークでは、そもそも人種もいろいろいるし、貧富の差も大きい。人が多すぎるから他人に構っていられない。だから“あの人変だね”というのもない。」と語る。また、「ニューヨークは日本よりバリアフリーは進んでいない。地下鉄も40%くらいエレベーターが壊れている。街も古い施設が多いので自動ドアとかエレベーターがないところが多い。でも車いすとか目が不自由な方が普通に歩いていて。みんな忙しいから気にしてないが“ヘルプミー”と声をかけるとみんな手伝ってくれる。日本はどうか。いまだにベビーカーとか車いすの方にエレベーターを譲ってくれないことがバズっている。降りない人に聞いたら“一人だけ降りるのって偽善者みたいで恥ずかしい”とかどうしようと思っているうちに閉まってしまうみたいな。日本人は性格が悪いとか配慮がないのではなく、恥ずかしいんだと思う」と実体験からの感想を語ると、浅生さんは「日本人は“すいません”という言葉がすごく多い。僕にできることでその人が苦手なことがあれば僕がやるし、逆だったら任せるし。それだけの関係なのに“すいません、申し訳ない”という。申し訳なくないのになって思う」などと補足した。
岸田さんは5月からのドラマで実際に車いすを使っている俳優が起用されたことを紹介し「ドラマとかメディアに車いすの方が出てきて何気なく見て慣れるというのはすごく大事だと思う」とも続けた。
また難聴さんは「車いすの方がエレベーターに乗れないという話。みんなが手を差し伸べる街を作るにはどうしたらいい?」と聞くと浅生さんは「やはり、慣れること。恥ずかしがらずに、自分がそれをやる。他の人はそれに続けばいいと思って、最初の一歩を踏み出すということではないか」、岸田さんは「私は手を差し伸べるというのが好きではない。手を差し伸べるって、助けてあげるという感じがあるが、誰かの役に立てることほど、人生で良かったなと思えることってないと思っている。母のことも弟のことも介護しているとか支えていると思ったことはない。私というダメな人間が得たお金や人の縁を2人の役に立ててもらえるって、それだけでうれしい。生きていて良かったと思う。みんな誰かの役に立ちたいと思っていると思う。具体的にどうすればいいかは分からないが“ありがとう”という言葉は必要だと思う。助けようとしてくれた人に“大丈夫です”と言う時に一緒に言う “声をかけてくれてありがとう”とか。この“ありがとう”という一言だけで、私はいいと思う。“ありがとうという言葉を私が町中にあふれさせるぞ”という気概で一人一人が生きてほしいと思う」などとそれぞれ語った。