豊島区制90周年ファイナル企画「ダイバーシティ」をテーマに猪狩ともか、鈴木おさむらがトークショーを開催
第2部は「もっと知ってほしい もっと聞いてほしい」をテーマにアイドルグループ「仮面女子」のメンバー、猪狩ともかさんと放送作家の鈴木おさむさんがトークを展開した。
「障害を持っていると普段困ることとか助けてほしいことがたくさんあるが、それを相手が知らないと、相手も手を差し伸べることが難しい。だから知ってもらうことはすごく大事だと思っている」という猪狩さん。
猪狩さんは会場に来るまでの道のりの写真を紹介する中で、車いすの人が通るために広めに作られている駅の改札を健常者が使うことで「通れない、気づかれない」という、知っているようで知らない状況があることを説明。またエレベーターの乗降についても「乗るのは後でも先でもいいが、降りるときはくるっと回転してから出たい。そのスペースを確保したいので、先に降りてもらったほうがいい。ドアの前で押さえてくれる人がいるが、幅が狭まるのでボタンを押してもらったほうがいい」などと当事者の意見を率直に口にする。猪狩さんは「一声かけてもらえれば」「なぜ、そこが車いすの方のために必要なのかということを認知してもらえればもっと過ごしやすくなるのでは」などと円滑な生活のためのヒントを語った。
猪狩さんが「鈴木さんの作品の中にマイノリティーの方が登場するシーンがある。ああいうのはどういうふうに考えている?」と尋ねると、鈴木さんは「4つ上の姉がいて甥が2人いる。下の子は7カ月で生まれてしまい、命は助かったが成長が完全ではなく、今21歳でコミュニケーションは取れるが言葉がしゃべれない。明るく育っていて、姉が“将来、芸人とかになってくれれば”といったことを言っていた」といった自らの身近な状況を語った。
そして「みんなが障害を持っている人とか障害に異常に過敏。差別はダメだが、いろいろな個性を持っている人、例えば車いすに乗っている女の人が犯人で、それで物語が面白くなるなら、僕はやったほうがいいと思う。そこに対して異常に過敏な世の中になってしまっている。7人の恋愛の話で“1人を車いすにしたい”と言ったら“なんで?”と絶対に聞かれる。普通に出ていいじゃんと思う。障害者を意味もなく出すと、障害を持っていない人がめっちゃ怒る。当事者じゃない人のほうが、めっちゃ怒ったり過敏になったりする。逆に差別になっている。言っちゃいけなくなる空気がありません?」などと日本のテレビ業界における現状を明かした。
猪狩さんは「言っちゃダメとかいじっちゃダメとか思っているからこそ、怒るという感情になるのかと、逆にそれが壁を作っているということになっているのかなと思う」とうなずいた。