〈北区区長選〉山田加奈子氏「北区には新しいリーダーシップが必要」統一地方選
ーー先進教育について考えを聞かせてください。
北区の状況からいいますと、先進教育の前に基礎的学力の定着をしていくことが大切だと考えています。「学校サポーター制度」を取り入れるなどして地域の方々にもっと学校に入ってもらって教職員の負担を減らしながら、一定の基礎的学力を定着させられる仕組みを作っていきたいと思っています。
先進教育については、優秀な人たちをどうやって伸ばしていくかということだと考えています。足立区は医学部に入学される方に対して補助を出すことを決めましたが、伸びることができる子どもたちをもっと増やしていくという視点も持つべきだという考え方だと思います。
東京都では理科と体育の専科の授業が始まっていますが、こうした先進的な取り組みに対して様子を見るのではなく、手を挙げて参加し、実装していくべきだと思っています。
一歩先んじた教育ということでは、日本の教育ではあまり取り扱われてこなかったアンガーマネージメントのようなメンタル的な部分に焦点を当てたいと思っています。というのも、これからの教育は「1+1=2」という正確な答えが出せる教育から、個に焦点を当て良いか悪いかは本人が決める、価値観というのは自分の中にある価値観でいいという教育、環境になっていきます。その視点を持ち、子どもたちのケアをする。それによって、子どもたちが学んだことに自信を持って社会に出ていく教育を、と思うんです。
実践していくのは確かに難しいことですが、教育委員会や校長先生たちと意見を出し合いながら切磋琢磨していくことになると思います。自殺、いじめ、不登校だとか、その対策として自己肯定感を上げていこうって言いますが、そのための訓練や思考を持つためのことをやってきていないのに、やれといっても難しいですよね。
そして、体験教育。コロナ禍で教育現場でできる経験が減りました。都では文化・芸術を体験するための補助制度を作って一校あたり300万円を出しました。来年度は縮小されますが、そういったものを活用して、文化・芸術、スポーツに触れる体験、体験型教育を進めていきたいと思っています。
ーー高齢者に対してはいかがでしょうか?
しっかりとした対応をしていくことが重要です。ただ、北区の場合、多くの高齢者の方が暮らされているんですが、現役高齢者の割合も多くて、高齢者とされる方の8割が介護保険を利用していません。
この方々にどうやって活躍してもらうかという工夫と努力が北区の価値を上げていくポイントになると考えています。高齢者を支援する、活躍できる環境やスキームを作っていくってことが大切だと思います。ボランティアも、シルバー人材もそう。社会福祉協議会も入れていますが、こうした社会資源を連携させて、高齢者となった方がここに行けば活躍できるという場を作ったり、わかりやすくお伝えする仕組みを作っていければと思います。誰かに必要とされ、何かをすることで感謝される。そういうのって幸せじゃないですか。これは高齢者だけじゃなくて若い人も同じです。
これからの行政の役割は、社会課題を認識し、地域のみなさんとともに解決のためのスキームやステージを作っていくこと。プレイヤーは区民の方々だと考えています。行政が、社会に求められている仕組みをどう作れるか。それが住みやすさ、暮らしやすさにつながっていくと思います。
ーー住みやすさ、暮らしやすさというのは、開発であったり、まちづくりにも大きな関わりがありますね。
王子駅、東十条駅、十条駅、赤羽駅(東口)と、北区では街の主要駅の再開発が進んでいきます。主要駅の開発が同時進行で行われることは、北区の歴史の中でこれまでもこれからもたぶんないと思います。まちづくりをどうしていくのかーー。行政が関わって、エリアマネージメント的な発想で開発をすることで、暮らしやすさ、近年注目を集めているWell-being、そしてまちづくりは一緒に進めていきたいと思っています。
ーーそのためにも最初の職員の能力を最大限に生かすことが重要になってきますね。
部活みたいな感覚に聞こえちゃうかもしれないんですけど、みんなで努力し工夫をしてみんなとしての成果を出す。それが大切かなと思います。それを予算で象徴的に示したいと思っています。現在は部ごとにやるべきことの優先順位をつけ予算を使っていますが、いま区民は何を求めているのか、必要かっていうことを基準にして予算組んで!と思っています。
ーー最後になりますが、改めて山田さんが区長になることで北区民が受けられるメリットはどんなことでしょうか?
繰り返しになりますが、区政そして都政、両方の経験があるからこそ、北区にプラスになる仕事ができる、ということだと考えます。どの区も決して単独では生きていけません。行政の仕組みとして、予算も制度も、国と東京都の連携の中に北区があり、他の区もある。これを理解をしたうえで、都が市区町村をどう見ているのかを理解し、都にものを言ったり、求めないといけない。区議会では議長もやらせていただいて、議長会として都と対峙していく仕組みも見ました。23区でうまく連携していくことも重要ですから、その時に、北区にとってプラスになるような連携の仕方を、頭を使って考えていきたいと思います。
ーー今日はありがとうございました。