斎藤裕の「この試合は平本選手の分岐点になる」の言葉の裏にある11年前の上田将勝vs堀口恭司戦【RIZIN LANDMARK】

修斗で行われた上田将勝vs堀口恭司戦を述懐する

上田vs堀口戦を生観戦「会場が揺れているのを体感した」

 戦績をチェックする時、基本的に降順で掲載されているので、上田戦は輝かしい堀口選手の戦いの歴史を過去へとたどっていくたびにハッと思い出される試合だと思います。斎藤選手が当時受けたインパクトの大きさもさることながら、あの試合を承諾し、そして接戦の中、強い気迫で勝利をつかみ取った上田選手の立ち位置に今ご自身がいて、同じように下の世代を迎え撃つフェーズに来ている、ということでしょうか。
「そうですね……あの試合当時、僕はまだ24歳でした。プロになってまだ2戦目を迎えるくらいの頃。あの時点で、上田さんは確か既にBELLATORの契約が決まっていたのでしたよね? それでもあの試合を受けた。結局、堀口戦の怪我で調整が遅れたという顛末も含めて、周りのみんなが“この試合を受ける必要があるの?”と思っている、そういう試合でしっかり勝ってみせた。あれを生で観戦していて、会場が(観客の興奮で)すごい揺れているのを体感しました。あんな試合を見ているので……」

 ご自身の試合でも代々木を揺らすことになるであろう、と。その試合の当事者である上田さんと再び練習を重ね、セコンドにもついてもらうのですよね。
「上田さんとはパラエストラつながりというのはありますけど、とにかく堀口戦を見ている僕としては、あの試合のような感覚というか……。あの時、上田さんは34歳で、自分が今36歳。そして、10歳以上も年の離れた選手と試合をしなきゃいけなくなってきているという立場があるなかで、自分にはそういう(当時の上田さんがしたような)役割もあるのだなと思ってしまうんですよね」

 その選手の今後に影響するような「何か」を拳を通じて伝えるということは、上田さん然り、キャリアを積み重ねただけではなく、トップを経験しているからこそ担えることなのだと思います。そして当然あの試合と同様、勝利をもぎ取りに行く。
「はい」