多くの企業が取り組む「健康経営」キーワードは“従業員が主役”

「SUNTORY+(サントリープラス)」

 なぜ今、多くの企業が「健康経営」に取り組むのか?

 2023年4月、健康保険組合連合会が公表した情報によると、主に大企業の会社員らが加入する健康保険組合の8割で2023年度の収支が赤字の見通しとなったことがわかった。高齢化の進展によって高齢者の医療費を賄うための拠出金が増えることなどから、赤字額が前の年度のおよそ2倍に膨らむ見通しだ。高齢者医療への拠出金は、いわゆる『団塊の世代』が75歳以上となる2025年にかけてさらに増えていく見込みだ。企業において「健康経営」が企業損益に直結する“経営課題”になっているのだ。

 企業が「健康経営」に取り組む理由は企業が負担する医療費の削減だけではない。企業のイメージが高まることや、人材の確保、労働生産性の向上&リスク管理、従業員の離職率低下など様々なメリットがある。

 健康経営と言えば、従来は健康診断受診率やストレスチェック受検率など、企業の実践度が中心とされてきたが、HR総研の「健康経営」に関するアンケート調査(調査期間2019年11月29日~12月6日)によると、健康経営施策に積極的に取り組むのは疾病のハイリスク層となりやすい「健康意識が低い人」ではなく、「普段から健康意識の高い人」が約6割を占め、なかなか実践効果に繋がりにくい取り組み状況であるとされている。さらに、新たな取り組みやサービスを取り入れても、従業員がやる気にならない、続かないというのが企業の悩みだ。

RenoBody

 そのような中、健康無関心層も含めたより多くの従業員を巻き込むことが出来る、”従業員が主役”の「健康経営」サービスが増えてきている。

 歩数計アプリの「RenoBody」は法人向けにウォーキングイベントのサービスを提供している。歩数ランキングを競い合うことで楽しみながら健康増進できるといったサービスだ。

 さらに、飲料メーカーのサントリーが提供している「SUNTORY+(サントリープラス)」は企業が無料で導入できるサービスだ。専用アプリにある低ハードルな健康タスクをこなすと、トクホのお茶などの健康飲料と引き換えられるクーポンやポイントがもらる。気軽にできて、飲料がもらえるため、続けるきっかけになるという。

 企業から一方的に与えられるだけではなく、”従業員が主役”となることが「健康経営」のカギとなるだろう。