黒田勇樹「ネットでは議長がいない会議が延々と繰り広げられている。9割がよしと言うことをやろうと思ったら平和で無難なものしか作れない」〈インタビュー後編〉
「大監督といった立場の人が言ってくれるといいんですけどね(笑)」
昔はテレビは一家に一台でした。今は何台もテレビがあるので、子供一人で部屋でテレビを見る時代なんでしょうね。分別がつく人と見ていれば凶悪事件のニュースに「これはダメ」、ドラマを見ていても「ドラマだからいいけど、本当にこんなことしたらダメ」、タバコのシーンにも「今は受動喫煙とかいろいろあるけど、カッコいいよな」とかいろいろと社会の仕組みなどを教えてもらえそうですけどね。ネット上の議長のない議論を止めることはできませんが、少なくとも家庭内では親とかちゃんとした人と話をする中で、こういう教育ができるようになるといいですね。
「今まで言ってきたことって、大監督といった立場の人が言ってくれるといいんですけどね(笑)。今は映画界全体に発言できる人がいない。そういう人が“いやタバコいいんじゃないの? 煙が映ってたほうが絵がきれいなんだよ”みたいな(笑)。お笑いで松本人志さんがお笑いについて言うみたいな感じですよね。映画界にそういう人が今いない。よし!頑張ろう!(笑)」
ここまで聞いてきて、コミュニケーションが家族間だけでなく友人間でも不足している中で、新しい情報とか物差しを学べなくなっているところはあるのかな?とも思いました。
「でもこればっかりは、もはや低賃金で、親が家にいないという問題にまでいってしまいますから(笑)。うちは僕が家で仕事をする人だから、面白いものをネットで見つけると“ねえねえ面白いよ”と奥さんや2歳の子供と話をする時間があるんですよ。でもこれがもし、毎日22時に帰ってきて、子供は寝ているし自分がへとへとだったら会えないから、その時間は取れないですよね。僕たちが『オレたちひょうきん族』を見ていた時はお父さんが19時には家に帰ってきていたんですよ。だからコミュニケーションが減ったのは労働時間が伸びたというのが原因の一つでもあると思います。そして画面が増えたこと、それで一緒にいる時間が減ったこと。世の中を見ているとそんな感じがします」
最後に今後の活動状況を教えてください?
「まず5月から、僕が監督をする子供向けのロボットコメディードラマ『J-BOTケロ太』をTOKYO MXさんでシリーズで放送します。6月には作・演出の舞台があって、多分少し出演もします。8月に朗読劇が決まっていて、その間にも1本監督をするんじゃないかと思います。『J-BOTケロ太』は評判が良ければ、後期にシリーズを作っていくことになるんじゃないかと思うので、ぜひ見ていただきたいです」