“かわいい”だけで野生動物をペットとして飼うことのリスクを伝える「飼育員さんだけが知ってるコツメカワウソのウラのカオ」

泳ぐコツメカワウソ

飼育方法が確立されていない動物を自宅で飼うのは困難

 こういったコツメカワウソ関係のイベントは今回が3回目。昨今、コツメカワウソのかわいい部分だけが切り取られ、SNS等で発信されることで「ペットとして飼いたい」と思う人が増えているのだが、野生動物であるコツメカワウソを自宅で飼うことは容易ではない。また、コツメカワウソに限ったことではないのだが、こういった飼育方法が確立されていない動物を飼い「こんなはずではなかった」と遺棄するケースが増えており、在来種へ深刻な影響を与えることも大きな問題となっている。こういった理由からこのウラノカオキャンペーンでは飼育することの大変さを伝えることで「本当に飼っていいのか」ということを伝えるとともに、飼育したいという人自体を減らすことを目的としているという。

 WWFジャパン自然保護室 野生生物グループの浅川陽子氏によると「コツメカワウソは2007年ごろにメディアで取り上げられたことをきっかけに人気が高まり2017年ごろに需要がピークに。当時は条件さえ整えば輸入は可能だったのだが、ルールを守らずに密猟・密輸が横行。2016~2019年には20頭ものコツメカワウソが日本向けの密輸個体として押収されている。こういった背景から国際的にも日本のペット需要が問題視されるようになり、ワシントン条約の場でも2019年に国際取引が原則禁止となり、輸出入が原則禁止となった。しかし生息地であるベトナムやサイパンといった国では密猟が確認されている」という。この密猟や密輸が横行するのはペットとしての需要があるからに他ならない。