藤井聡太新名人が誕生 史上最年少名人と七冠に「結果として更新できてうれしい」
将棋の第81期名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催)の第5局が長野県高山村の「藤井荘」で行われ、1日夜、挑戦者の藤井聡太竜王(王位、叡王、棋王、王将、棋聖)が渡辺明名人に勝利し、4勝1敗で史上最年少の名人が誕生した。
藤井新名人は20歳10カ月で、谷川浩司十七世名人が1983年に21歳2カ月で獲得した史上最年少名人の記録を約40年ぶりに更新。さらに、羽生善治九段が96年に25歳4カ月で当時の七大タイトルとなる七冠を達成して以来、史上2人目の七冠制覇を果たした。
対局後の会見では、新名人としての感想を「終局直後はまったく実感がなかったんですけど、感想戦が終わって少しずつ実感が湧いてきたところ」と表現。
約40年ぶりに最年少名人記録を更新したことに「このシリーズに臨むうえでそのことを意識していたわけではありませんけど、谷川先生の記録というのは素晴らしいものだと思っていたので、結果として更新することができたというのはとてもうれしく思っています」、史上最年少での七冠達成には「羽生先生の記録は全冠制覇という点で特別なものだと思っているので、自分としてはそこに並べたという意識ではないんですけど、今回名人を獲得できたということはうれしく思っています」と述べた。
約19年ぶりに無冠となった前名人の渡辺明九段への思いを「渡辺先生は私が将棋を始めた頃からずっとトップで活躍されてきた。自分自身が初めてタイトルに挑戦して、五番勝負に対戦できるというのは本当に楽しみでしたし、これまでのタイトル戦でも何度も対戦があったんですけど、その中でも自分にはない長所を持たれている方なのかなという印象を強く持っています」。
師匠の杉本昌隆八段には「師匠とは自分がC級1組の時に同じクラスで、師匠のほうが昇級して自分は届かなかったということがあったんですけど、その時に50代で昇級するというのは本当に素晴らしいことだと思いましたし、自分自身は昇級できなかったんですけど、師匠の姿を見て自分も “来期は頑張ろう” という気持ちになった。師匠の姿を見ることができたというのが、その後、今につながっているのかなという風には感じています」と報告した。
6歳の頃から夢に描いてきたタイトルを手にして「名人という言葉には子供の頃から憧れの気持ちを抱いていたので、今回獲得できたことについてはすごく感慨深いものがあります。ただ、自分がその立場になってみると、それで終わりというわけではなく、先がずっとあるというところもあるので、それをしっかり見据えてやっていきたい」、名人には “その分野で特に優れた人” という意味合いもあるが「そういった点では特別な重みがあるものなのかなと感じている。自分がそういう位置に到達することが出来たという風には、現時点ではまだ思えないところもあるんですけど。名人という言葉にふさわしい将棋が指せるように、今後一層頑張らなくてはいけないなという気持ちが一番強いです」と言い切った。