藤井聡太新名人が誕生 史上最年少名人と七冠に「結果として更新できてうれしい」
名人戦を振り返り「非常に収穫の多いシリーズだった」
対局前の揮毫(きごう)に “雲外蒼天(うんがいそうてん=どんな試練でも、努力して乗り越えれば快い青空が望めるという意味)” としたためたが、七冠を達成した手応えを「自分としては、結果そのものよりも将棋を考えるうえで、強くなればそれまでと違った考えであったり判断ができるようになるのかなという思いで書いている。今期の名人戦は今までのタイトル戦と比較しても、持ち時間が長いということもありましたし、しっかり読みを入れて指すことができたかなと自分で感じられる場面もあった。そういう点では非常に収穫の多いシリーズだったかなと感じています」。
力戦を制したうえでのタイトル獲得を「今期の名人戦は定跡系ではなく、けっこう早い段階から構想力を問われる将棋が多かった。自分から行ってじっくり考えて構想を練るというのは、自分自身あまり経験のなかったことで、指していて新鮮でもありました。その結果、うまくいったところとそうではないところが分かってきたところもあったので、自分としては指していて楽しい将棋が多かったですし、収穫の多いシリーズだったと思っています」と喜んだ。
これから棋聖戦、王位戦の防衛とタイトル戦が続くが「6月から棋聖戦、その後王位戦の防衛戦が開幕することになる。どちらも佐々木大地七段が相手ということで、本当に強い相手だと思っているのでこちらもしっかり準備して、いい内容の将棋ができるように頑張りたい。王座戦でも、まだ(八冠に)挑戦を意識する段階ではないんですけど、少しでも上に進めるように頑張っていきたいと思っています」、八大タイトル制になって前人未到の全冠制覇には「現時点ではとても遠いものなのかなと思っている。それを目指せるということ自体が、そういうチャンスを作れたこと自体が光栄なこと。それを生かして少しでもそこに近づくことができるように何とか頑張れたらと思っています」と誓う。
今後、どんな高みを目指すのかについて「自分としては、これからも変わらず強くなるということを第一の目標に取り組んでいきたいと思っているんですけど、名人という立場は重いもので、それにふさわしい将棋を指さなくてはという気持ちがあります。そのためには、現時点だと一局ごとにバラつきが多いかなというところもあるので、それを少しでも高めていけるように頑張りたいと思っています」と藤井新名人。
将棋AI時代と歩みを共にする藤井新名人だが「AIの棋力が棋士のそれを凌駕する中で、それを活用して取り組んでいくというのはもちろんなんですけど、見ていただいている方に楽しんでもらえる将棋を指さなくてはいけないと思っていますし、そのためにはAIに近づくというだけではなく、盤上においての自分なりの工夫というのを出していけたらなという気持ちを持って指しています」と結んだ。