舞の海「大相撲の解説に行き詰まりを感じていた」全盲のヴァイオリニストの言葉に意欲再燃

 

 公開中のドキュメンタリー映画『光をみつける・ヴァイオリニスト穴澤雄介からのメッセージ』のトークイベントが3日、東京都写真美術館ホールにて行われ、出演者のヴァイオリニストの穴澤雄介、舞の海秀平と永田陽介監督が登壇。舞の海が感銘を受けた穴澤氏の言葉を明かした。

 明るく前向きな人柄を生かして、講演やYouTubeなどでも活躍する全盲のヴァイオリニスト穴澤雄介が綴る音楽と人生の感動ドキュメンタリー。

 スポーツのラジオ中継を聞くのが大好きという穴澤氏と、大相撲解説者でもある舞の海。映画で対談した穴澤氏の印象を聞かれた舞の海は「やけに明るい人だな、と。なぜこの人はこんなに前向きに物事を考えられるのか、と思いました。私は正反対。常に後ろ向きなので(笑)」と笑いをさそいつつ「お話しているうちに、感覚が一緒だなとか共感するところがいっぱい出てきた」と、多くの困難を乗り越えてきた穴澤氏の視点に共感。

 穴澤氏の人並外れた想像力や記憶力にも感服し「この人、本当は目が見えているんじゃないかと(笑)」と冗談めかしつつ「昔から知り合いだったような感覚になりますね」とすっかり意気投合した様子。

 一方の穴澤氏も、場所中は大相撲の実況中継が大の楽しみといい「ラジオの場合、取り組みが終わってからアナウンサーさんが説明してくれる。あれはVTRを見ながら話しているんですか?」と質問。すると舞の海が「実はあれは見てないんですよ。スロー(映像)が流れるのを待っていると時間がかかるので、アナウンサーは(取り組みが)終わった瞬間に記憶でしゃべりますね。なので若い人だと、けっこう説明がざっくりな人もいます(笑)」と解説。

「僕も穴澤さんとお会いしてからは、こういう風に説明したら伝わるかなと穴澤さんを思い浮かべながら話しています」と言う舞の海に、穴澤氏は「もともと舞の海さんの解説はすごく分かりやすい。土俵の直径が4メートル55センチとか、数字でも説明してくれる。見えている方でも意外とそういうことをご存じないのでは。あれはちょくちょく入れていただけると」と言い、舞の海も「分かりました。解説に行き詰っていたので…(笑)」とリクエストに感謝。

 トークでは、劇中ナレーションの声の良さをほめられた舞の海と穴澤氏がタッグを組んでCDデビューに意欲を見せる一幕も。

 最後に舞の海は「穴澤さんの考え方で、好きな言葉がありまして。おかれた環境の中でベストを尽くすという。現役終わって、ずいぶんその気持ち無くなっておりました。もう一度、穴澤さんの言葉を大切にしながら私もこれから、死ぬまでの暇つぶしといいますか…歩んでまいりたいと思います(笑)」と会場を笑わせていた。

 

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