都医師会・尾﨑会長、超高齢化社会に警鐘「2025年以降受診できない患者さんが増えてくる」
新型コロナウイルスが5類に移行して約1カ月。東京都医師会は13日、都内で今後の医療課題について定例記者会見を行った。
尾﨑治夫会長は、冒頭で今後の課題について「新型コロナの問題は引き続きやっていきたいと思うが、2025年に団塊世代が後期高齢者になる “超高齢化社会”の入り口まであと1年半。その後、2040年くらいまで東京特有の人口が減らないまま高齢化が進むという時代に入る。その時に東京の医療がどうなるかについて、書籍『近未来のTOKYO医療に希望はあるか?』を出版して広く都民や医療関係者に読んでいただいている。2025年以降の課題について、東京都医師会としてどう取り組んでいくか、今後の記者会見で発表していきたい」と言及。
さらに、コロナ禍での医療提供体制を踏まえ「2009年に新型インフルエンザ(H1N1)、その10年後に新型コロナのパンデミックが起こった。今の地球環境を考えると、次のパンデミックはもう少し早い時期に起こるだろうと言われている。今回、政府の第8次医療計画の中に〈新興感染症発生・まん延時における医療〉の記述が追記された。コロナ禍を経験したことで、政府も本腰を入れて今後のパンデミックに対する備えを考えるようになった」
「第5波のデルタ株流行時、30~50代の方へのワクチン接種が始まっていない中で、入院できない方が自宅療養中に肺炎を起こすなどして苦しむ状況になった。東京都医師会では、当時から自宅療養者を24時間見守る体制を作っており、今後は複数の病気を併発している高齢者、要介護状態の方が増えてくる中でこの支援体制が役立つのではないか。私どもはこうした支援体制を継続的に発展させていこうと考えている」
「コロナ禍ではかかりつけ医もクローズアップされた。なかなか医療機関を受診できない時に、かかりつけ医が地域の方を見守っていく体制が必要ではないか。24時間一人で見守ることは現実的には難しいので、グループで見守っていく。特に東京は小児科、内科、在宅医療、眼科、耳鼻科など専門性を持った医師がいるので、そうした方がグループとして予防も含めて地域の方を診ていくかかりつけ医機能を作っていきたい。
その時に大事なことは医療情報の共有。患者さんが今どういう医療を受けているか、どういう薬を飲んでいるかといった情報が共有できないと、グループで診ることは難しい。今後の医療提供体制を作るにあたって、いわゆる医療DXは必須の仕組みになっていくのではないか」などと提言した。