福士蒼汰「新しいことに挑戦するときプライドに縛られていたら打ちのめされてしまう」初の海外挑戦 必要と感じたのは「素直さ」

撮影・蔦野裕 ヘアメイク・佐鳥麻子(VITAMINS) スタイリスト・オクトシヒロ

【「一歩海外に出れば僕のことを知っている人はわずか」日本での経験が海外挑戦のメンタルを作った】
 今回の海外作品挑戦はもちろん、近年はドラマ「大奥」や「弁護士ソドム」、モキュメンタリーの「NoMAD Workout-FUKUトレin NY-」や、衝撃の愛を描くサスペンス映画『湖の女たち』(11月公開予定)と、挑戦の幅がさらに広がっている。

「自分では実はそこまで“挑戦”と意識しているわけではなく、求められることと自分のやりたいことをやらせていただいているんです。でも最近は役柄の幅も少し広がって、今まで以上にやりがいを感じています。いろんなことが制限されがちな時代ではありますが、結局は自分で切り開いていくしかない。いろんな“旅”をしたほうがいいんだなと思います」

 同時に、現実的な視点で日本人俳優にとっての海外挑戦の難しさも実感している。

「一番難しいなと感じたのは、日本である程度キャリアを積んでから海外に挑む大変さでした。日本では僕を知ってくれているキャスト、スタッフ、視聴者の方がいらっしゃいますが、一歩海外に出れば僕のことを知っている人はわずか。自分がどういう作品に出演してきたのか、自分はどういう役者なのか、ということを自分自身で、しかも英語で伝えなければならない。ある意味新人と同じような感覚です。でも、日本で経験してきたことに意味がなかったとは思いません。海外でも自分の軸のようなものをブレずに持ち続けられたのは、日本でたくさんの作品を通して自分と向き合ってきたからだと思います。日本での経験が、海外でも挑戦できるメンタルを作ってくれました。」

 そのメンタル作りに必要なこととは?

「素直さだと思います。俳優の仕事に限らず、長い間経験を積み重ねてくると、どうしてもプライドが捨てられないこともあると思います。でも、新しいことに挑戦するときプライドに縛られていたら、打ちのめされてしまうと思うんです。一から勉強させていただきますと、初心に戻ることが必要なんじゃないかなと」

 打ちひしがれるどころか、海外挑戦にもさらなる意欲を見せる福士。「皆、東京に行きたいと言ってくれて。忍術を習ってるくらい、日本が好きなキャストもいたんですよ(笑)」と、今回の共演者とのエピソードを楽しく語る姿を見るに、道を一つ切り開いた様子。

「今回は、いろいろな国からキャストが来ていたというのも大きかったかもしれません。母国語が英語じゃない人もたくさんいて。例えば、ルノー船長役のティリエも“実はそんなに英語は得意じゃないんだ”と言っていて、そこで共感し合うこともできました。そういう意味でも、安心して臨むことができる現場だったと思います。次に海外作品へ挑戦する機会があれば、そのときはもっと自信を持てたらいいなと思います」

 海外作品へのオーディションも受けていると明かし「今回ありがたいことに、海外作品に挑戦するという夢の第一歩を踏み出すことができました。第二歩、第三歩と繋げていけるように、より一層精進していきたいと思っています」。

「そしていつか、後輩たちが後に続いてくれたら…」と先を見すえる福士。更なる飛躍に向け今も準備を続けているに違いない。

「急にプレスカンファレンスが入っても動じないように、常日頃から準備をしておきたいと思います(笑)」
(TOKYO HEADLINE・秋吉布由子)

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