小池百合子東京都知事インタビュー「『未来の東京』戦略」はバージョンアップだけでなくゲームチェンジするくらいの勢いが必要

(撮影・堀田真央人)

 関東大震災から100年という節目で東京都が防災に向けて取り組んでいることについて教えてください。

「大震災からちょうど100年を機に、首都直下地震等による死者数を半分に、倒壊する建物の棟数を半減にといった具体的な目標をしっかり持つことで、これまで講じてきたさまざまな対策をハードとソフトの両面でしっかり伝えていきます。『東京防災』という黄色い本と『東京くらし防災』という女性視点の2冊は、今年度リニューアルし、都内の全ての家庭に配布します。

 例えばですが、最近はより共同住宅に住む人が増えています。マンションやアパート、都営住宅などもそうですね。東京の人口の1400万人のうち、共同住宅に住む人が900万人いる。900万人とはオーストリア一国の人口に匹敵するくらい。その900万の人たちは伝統的な町内会や自治会などとは違う、建物の管理組合という組織に入っている。それをどう融合させ、古い地域と新しいタワマンなどの住民をどう一体化させ、いざとなった時に助け合えるか。それには、やはり日頃のハードだけでなく、ソフトの部分も強化させなければいけません。

 先日、大規模なマンションに行きました。住民同士で防災をきっちりやっているモデルケースです。何百世帯もあるところなのですが “どういうふうにしているのですか?”と聞きました。すると、管理組合のトップの方が“挨拶ですよ”と。とにかくみんな、朝会ったら“おはようございます”と。要は挨拶だと。知らない人と一緒にエレベーターに乗ってもお互いに知らんぷりではなく、お互いに挨拶をしよう、と。意外と単純でありながら重要なことだと思いました。これからも都民の皆様に自助・共助・公助の機運の醸成をしていきたいと思っています」

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