中村勘九郎と七之助、巡業公演に気合「挑戦の場のひとつ」
演目にある舞踊劇「天日坊五十三次より桑名浦乙姫浦島」は本公演で156年ぶりに復活を果たす。「復活って言っても新作に近いようなもの。みんなで知恵を絞り合ってお客様に楽しんでいただけるような公演にしたい」と、勘九郎。
江戸時代に起きた天一坊事件を題材に、黙阿弥が、時代を鎌倉時代に置き換えて描いた『五十三次天日坊』の一部だ。
勘九郎は「曲も歌詞もイチからみんなで創作した新作のようなものです。題材は実際にあったけれど、その舞踊を誰も見たことがないし、誰も聞いたことがないし、どこにも資料が残っていない。それをみんなで掘り起す、発掘作業というか考古学者みたいなことをして、それを今のお客様に見せるという趣きです」と続けた。
特別公演は、もうひとつの演目「女伊達」と、勘九郎と七之助による作品解説などのトークコーナーで構成する。
トークコーナーでは観客とのセッションも楽しみだという。
七之助はコロナ禍では質問コーナーが紙に書かれた質問に答える形になっていたことに触れ「書いてもらうとそれに答えるだけになってしまうんですね。そうじゃなかった頃は、回答した後に“このあと昼ご飯食べに行きたいんですけど、どこかおススメのところはありますか?”って逆質問したりして。本当に兄弟で伺ったお店もあるんですよ」
また公演については「一生懸命するのみ」としたうえで、「小さい子どもから、ご年配の方まで楽しんでいただけるような作品にしてますので、ぜひお足をお運びくださいませ」とアピールした。
勘九郎と七之助は、取材会が行われた文京シビックセンター内にある文京シビックホールの名誉館長を「父から引き継ぎ」務めている。同所も公演が予定されている。七之助は「名誉館長となって初めての文京シビックホールでの公演となりますので、館長の名に恥じないように一生懸命努めたい」と、意気込んでいた。
公演は、10月5日に埼玉・所沢市民センターミューズ・マーキーホールからスタート。都内では、6日に太田区ホール・アプリコ大ホール、8日に文京シビックホール大ホール。新潟、大阪、石川、富山、愛知など全14公演。