坂上忍「無駄と思える時間があるほうが何か幸せ」タイパ時代に好きなことをやり続ける意味

 俳優、演出家、映画監督、エッセイスト……とさまざまな顔を持つ坂上忍。昨年「バイキングMORE」が終了した後は、念願だったどうぶつ保護ハウス「さかがみ家」をオープンし、愛煙家として葉たばこ農家での収穫体験などに足を運んでいる。好きなことをとことん楽しんでいる坂上に、今、大切にしている時間や最近叫ばれる “タイムパフォーマンス” について聞いた。

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帯番組が終了し、現在は好きなことをとことん楽しんでいる坂上忍(撮影:蔦野裕)

 昨年、MCを務めていた「バイキングMORE」が終了した坂上。その直後にどうぶつ保護ハウス「さかがみ家」をオープンしたことでも話題となったが、改めて動物保護に積極的に携わるようになったきっかけをこう語る。

「僕は子どもの頃から動物といるのが当たり前の生活を送ってきました。どうぶつ保護ハウスの運営は、実は50歳くらいの頃から計画していたことです。10月で放送5周年を迎える『坂上どうぶつ王国』は、僕が『さかがみ家』を作るためにかかるお金を計算し、“これまでのようなかわいいだけの動物番組じゃなく、密着主体のドキュメンタリーっぽい番組ができないか” と提案して、そこにフジテレビが興味を持ってくれたことで始まりました。

 僕は物事を逆算したがる性格なのですが、自分がいつ死ぬかって誰も分からないじゃないですか。じゃあ寿命ではなく、自分の体と脳みそを思い通りに動かせるのはいつまでだろうと考えると、60〜65歳までが限界だろうと思っていて。大きな仕事って5年で形にしたいと思っても、実際はもっとかかるものだから、55歳くらいには始めないといけない。最後の仕事として何をしようかというのをずっと考えていて、一生懸命になれそうだなと思ったのがたまたま動物保護だったんです」

 信念を持って始めた動物保護ハウス。運営にはやりがいも多いが課題も山積みだという。

「『さかがみ家』では、寄付やクラウドファンディングに頼らず、保護活動でどうやって利益を上げるかということに挑戦しています。最初の半年間は、スタッフさんに動物のお世話に慣れてもらう期間でお金が出ていくだけ。当然、経営状態はヤバくなるんですけど、何をしたらいいのかも分かりませんでした。今年度はある程度採算が取れそうな見込みなのですが、それは僕が『坂上どうぶつ王国』をやっていて、いろんな商品を買ってくれる人がいるから。あと5〜10年の間に収益の核となるものを見つけないと、若い子たちに経営を引き渡せないので、そこまでが僕の仕事だと思っています。

 とはいえ、運営はまさかの連続。オンラインストアをやるのに自分たちで梱包するとは思ってなかったし、カフェで木更津産のバナナジュースを出しているんですけど、それもネットで調べて勝手に電話しただけですから。今年か来年やろうと思っているプロジェクトも、ネットで調べて問い合わせフォームからメールして、“こんなの絶対返事こないよな” って言ってたらきちゃって(笑)。僕が会いに行ったら、その人がたまたまテレビ局にいた人だったとか。予期せぬ出会いがあって、ひとつずつ形ができ上がっていくのが面白いですね」

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