涙の最終回「復縁モノ」恋リアに共感が集まった理由〈アラサー女子と考える『ラブ トランジット』第7話〜8話〉

「過去の恋」への未練を晴らしてくれた

 元恋人同士が出演する復縁系リアリティーショーは、すでに既存のシリーズも存在していた。しかし同番組に対し、これまでになかった感想が目立ったのはなぜだろうか。

 集まったメンバーは一度は「完全に終わってしまった2人」。にも関わらず「好きだった相手への気持ち」で揺れ動く姿は、幾度か恋をしたことがある大人にとっての共感性が高かった。筆者自身、過去別れた人のことを思い出した。視聴者が自分ごとの恋愛感覚を持てたことで、作品に対し没入することができたのではないだろうか。

 また、参加メンバーの中に「恋人に未練がある」人物が多かったのもよかった。恋人に振られたことがある多くの人が、過去の恋に何かしらの未練がある。「もっとこうしていたら」という未練はあっても、相手との関係を慮り、復縁を諦める人もいるはず。けれど、元恋人と復縁できた参加メンバーを見ていると、自身の未練も晴らされるような感覚があった。

 ダメ元でもぶつかっていく、意思の強さ。好きな人に振り向いてもらえなくも、折れずに愛を注ぎ続ける姿。「恋愛は、行動しなければ始まらない」という根本的なメッセージを、元恋人同士というグレーな関係性の中で、ドラマティックに描いてくれた。

 恋愛は「好き」というシンプルな気持ちから始まるのに、その気持ちをただ持ち続けることは難しい。だからこそ、それを実現する参加メンバーに共感が集まった。メンバーを批判するのではなく、応援したくなるような構造は、今後の恋リアに必要な要素となっていくことだろう。

(文・ミクニシオリ)

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