タイトルの印象に裏切られる、素晴らしき人間ドラマ『ナチスに仕掛けたチェスゲーム』【黒田勇樹のハイパーメディア映画鑑賞記】
こんにちは、黒田勇樹です。
TOKYO MX2で土曜の朝に放送中のドラマ「J-BOTケロ太」なんですが、いろいろな方から感想をいただき、とてもうれしく思っています。笑いあり、涙あり、SFありといろいろなことにトライさせていただきました。なんだかんだで先週で第9話。7月22日の最終回に向けてラストスパートに入っております。見逃し配信もやってますので、ぜひ。
では今週も始めましょう。
「ナチス」という、言葉に拒否反応がある人も多いのではないでしょうか?
政治や残酷さを連想させるというか、そもそも「言っちゃいけない」風潮すら、ある。
筆者も、どちらかというとそちら側で、観る前はある程度覚悟をしていたというか、残酷だったり政治的であったりしたら、素直に観れないな、と思っていたのですが、まず「画」の、作り方が素晴らしかった。単純に、わかりやすい。
洋画では珍しい、うーん、フジテレビがゴールデンでやるドラマみたいな「何が起こっているかわかるカット割り」
カットの割り方には、印象でみせるような「芸術的」だったり、北野武監督の”青”にこだわる様な「独創的」、「娯楽的」「説明的」、等々、色々なアプローチがあるのですが、この映画は、そこを網羅していて、常に「一番わかるカット」を撮り続けている。
政治的な話から始まり、チェスがそこに絡んでくる。もうこの時点で「政治的な歴史も、チェスのルールも、わからん人には、なんのこっちゃら」と、なりかねないストーリーを「誰が見ても、なんとなくわかりそうな映像」にしているのは、とんでもないことなんです。
んで、そう思って観ていたら、後半は、過去と現実と妄想の世界が交差しまくる、スピリチュアルな物語が繰り広げられます。
「わかりやすい映像」は、ボクシングでいうジャブで「からの~?」からが、ストレートパンチの連打。
“人間”が、押し寄せてきます。
あしたのジョーのラストかと、思いました。
舞台は、とても特殊な時代を描いたモノですが、映っているのは「誰もが共感できる人間」
政治的な押しつけは一切なく、とても素敵な映画だったので、是非皆様にご覧頂きたいです。
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1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として舞台やドラマ、映画、CMなどで活躍。
主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともにTBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。山田洋次監督映画『学校III』にて日本アカデミー賞新人男優賞やキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパーメディアフリーター」と名乗り、ネットを中心に活動を始めるが2014年に「俳優復帰」を宣言し、小劇場を中心に精力的に活動を再開。
2016年に監督映画「恐怖!セミ男」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映。
現在は、映画やドラマ監督、舞台の脚本演出など幅広く活動中。
公式サイト:黒田運送(株)
Twitterアカウント:@yuukikuroda23