RSウイルス感染症、ヘルパンギーナ…小児医療ひっ迫、都医師会が解説する受診の目安は?
東京都の小児医療が「RSウイルス感染症」「ヘルパンギーナ」など感染症の流行によりひっ迫していることを受け、東京都医師会の定例記者会見で小児科医で感染症担当の川上一恵理事が注意喚起を行った。
「ひっ迫する小児医療」のテーマで登壇した川上理事は、東京都内の感染症発生動向から子どもに多い感染症について「最近メディアで全国的に増えているといわれるRSウイルス感染症は、昨年より多いですが2021年よりは少ない状況。咽頭結膜熱(プール熱)は今年に入って多く報告され、通常春先に多い溶連菌感染症が今年は5月から増加傾向が続いている。ヘルパンギーナに至っては5年ぶりくらいに非常に多い状況で推移。水痘は外来で肌感覚としてよく見ると感じ、実数としては低いレベルだが昨年より多い。手足口病は今年はヘルパンギーナに比べて少なく、感染症胃腸炎は例年並み」と説明。
「グラフを見ると “そこまで多くないじゃないか” と思われるかもしれないが、これだけの感染症が中等度からやや多いレベルで同時に流行していることが、私たち小児科医が最も苦しめられている点」と強調した。
さらに「小児に関して増えているのは、RSウイルス感染症やヘルパンギーナといった発熱を訴える感染症ばかり。新型コロナ以降皆さん発熱したらすぐ受診を心がけているため、熱が出ると2時間後には小児科外来にいらしている。症状が出始めて2時間程度だと迅速検査などが行えず、様子を見て翌日も発熱が続くようであれば改めて受診するなど、1人の患者さんが診断がつくまでに2~3度受診するような状態。患者さんたちが発熱に慣れていなかったり、 “うちの子はどの疾患なのか” という不安もあって、診断名がはっきりするまで連日のようにいろいろな医療機関を訪れる事態も起きている」と問題点を指摘。
昼間に診断に至らなかったり、受診できなかった患者が夜間に病院の救急外来にも押し寄せているといい「重症の患者さんをうまくトリアージしないと今、診ないといけない患者さんを診られない状況が起きている。都立小児(総合医療センター)でも連日120~180台の救急車を受け入れ、PICU(小児集中治療室)には40人以上が入院し、およそ半数はRSウイルス感染症だと報告されている。今、小児に関しては外来も入院もひっ迫した状況」と危機感をあらわにした。