EXILE SHOKICHI、別名義での新曲を発表! 今までのソロとは違う“SHO HENDRIX” の音楽活動についてインタビューも公開

写真・秋倉 康介

一度生まれ変わって面白いことをどんどんやっていきたい


――今回の別名義での新曲発表の理由から教えてください。

SHO HENDRIX:名前を変えることで先入観なく僕の音楽を聴いてもらえたら……という好奇心から別名義で発表することにしました。自分の音楽人生は一度きりだから、新しい挑戦をどんどん続けていきたいんです。今は情報社会でスピーディーに世の中が移り変わっていく。さまざまなことに接する時間や勉強できる機会も増えて、一回の人生に3回分くらい詰め込めるんじゃないかと思うんです。だったら、一度生まれ変わって面白いことをどんどんやっていきたい。それもあって今回のプロジェクトに関してはSHO HENDRIXでいこうと決めました。

――SHO HENDRIXという名前の由来は?

SHO HENDRIX:海外でも通用する名前がいいなと思って。海外に行くと「SHOKICHI」と名乗っても覚えてもらえないことが多くて、いつも「SHO」と名乗っていたんです。ラストネームの「八木」も「ヤリ?」みたいになって、なかなか通じないので何か通称みたいなものはないかと思っていて。たまたま海外で入ったバーが「HENDRIX BAR」という店名でかっこいいなと思って、勢いでSHO HENDRIXにしました(笑)。

「草花と火山の物語」

リラックスした感じで歌える曲を作ってみたかった


――新曲「草花と火山の物語」は、ネオソウルのテイストを取り入れた楽曲です。

SHO HENDRIX:一回肩の力を抜いた音楽を作ってみたかったんです。ダンサーがいて大きなスクリーンがあって照明が当たって歓声が沸くポイントがある、みたいな。そういう感じじゃないと自分の曲はやりづらいと思っていたんですが、コロナ禍を経て心変わりがあって。たとえばジャズクラブとかに行ってパッとマイクを持って歌えるような曲が自分にはないなと。

――ざっくり言えば、踊らせる音楽というより聞かせる音楽を作りたかった。

SHO HENDRIX:そうです。ライブで声を出せない時期もあったから、派手なことをやっても、しっくりこないと感じていたんです。リラックスした感じで歌える曲。ディナーショーみたいなことを考えたときに歌えるような曲。そういうレパートリーがたくさんあったほうがいいなと思ったんです。

――ネオソウルといえば、ディアンジェロ「Brown Sugar」やエリカ・バドゥ「Baduizm」、マックスウェル「Maxwell’s Urban Hang Suite」などが代表作に挙げられます。SHOKICHIさんとネオソウルの出会いは?

SHO HENDRIX:ネオソウルは好きです。ディアンジェロの「Brown Sugar」は後追いで勉強したアルバム。体を鍛えたのも、髪を編み込みにしたのもディアンジェロへの憧れからなんです。エリカ・バドゥもマックスウェルも聞いていました。

――ネオソウルはどんな部分が刺激的でしたか?

SHO HENDRIX:ビートの組み方です。レイドバックさせたスネア。そこまで後ろにずらす?っていう、革命的ともいえるタイミング。でも、「草花と火山の物語」では2023年に表現するネオソウルをやりたかったんです。言うなれば、ネオ・ネオソウル。当時のネオソウルをそのまんまやらない。今回のトラックを作ってくれたNAOtheLAIZAにもその意向を伝えて、今のヒップホップの感性も取り入れてビートを作ってもらいました。

――作詞作曲はどのように進めましたか?

SHO HENDRIX:僕には、「作りたい曲のタイトルリスト」みたいなものがあって、そのなかに「草花と火山の物語」というフレーズがあったんです。そのリストを眺めているときに、このビートは「草花と火山の物語」という言葉で表現しようとひらめいて。歌詞とメロディーは、1行1行、同時に作っていきました。言葉ありきのメロディーだし、メロディーありきの言葉です。

――どのようなストーリーや感情を描写したかったんでしょうか。

SHO HENDRIX:火山と草花が愛し合ったとしても、草花は火山に触れただけで燃やされてしまうので、両者はどんなことがあっても交わらない。そういう運命にある寂しさと、「絶対無理じゃん」という、やさぐれ感をテーマにしました。以前の僕だったら、「そんな運命は関係ない。僕たちは結ばれる」っていう方向で書いたと思うんです。でも今回は運命を覆すことは無理だと悟ったときの寂しさや切なさを通り越した虚しさを描きたかった。今までにたくさんラブソングを書いてきたので、こういう感情も表現できるようになったという自負があります。

写真・秋倉 康介

今までのソロと今回は大きく違う


――アルバム制作のためにLAを訪れるそうですが、目的は?

SHO HENDRIX:現地のミュージシャンとのコライト(*)です。最初は全部、自分のメロディーでアルバムを作ろうと考えたんですが、半分は自分にないメロディーがあった方が、自分で聞いたときに楽しいかなと。LAでは歌詞まで書いてこようと思っていますが、レコーディングは日本でやろうと考えています。というのも、エンジニアは1人の方にお願いしたいんです。なぜなら音の統一感が欲しいから。今まではライブを想定して、ライブの場面ごとに合わせた曲を作っていたんです。この曲で登場して、バラードセクションにはこの曲を歌って、とか。それに合わせてマイクもスタジオもエンジニアも変えていた。だけど、今回はすべてを1つのカラーでまとめたいんです。今までのソロと今回はそこが大きく違うんです。

――LAセッションにはどんな方々が参加されるんでしょうか。

SHO HENDRIX:いろんな人とやる予定ですけど、全員初めての方です。すごいメンツだと聞いていますが、「この人とやりたい」ではなく、「この日にスケジュールが合う人で構わない」と伝えてるんです。だから、その日にめぐりあったトップライナーたちと作ることになる。すごく挑戦ですし、ワクワクを通り越してドキドキです。今回、LAには出会ったことのないもの、自分の中にないものを求めに行くんです。

――奇跡の巡り合わせに期待します。

SHO HENDRIX:今まではこういう曲を作りたいと完全にゴールを決めて、そこに向かっていく作り方をしていたんです。そこからちょっとズレると「OK」としながらも、ゴールに合わせて軌道修正する作り方をしていた。なぜそうだったかというと技量が足りないからだと思うんです。あっちこっちに転んだときにそれを楽しむ余裕や対応力がなかった。でも今はたくさんの曲を作ってきて、どういうふうに転んでも最終的に良い曲に仕上げる自信があるんです。だからこそ今回は今までにやってこなかった作り方をやってみたい。サイを振る楽しさと、アドリブ感を大事にしたいと思っています。

――今のところ、アルバムはどんな内容になりそうですか?

SHO HENDRIX:今回の「草花と火山の物語」のように、このトラックにこのタイトルなの?みたいな。そういうどっきり感は大事にしたいと考えています。サウンド的には、心地良くゆっくり聞けるもの。ずっと流しておけるような、そんなアルバムにしたい。全編ネオソウルになるわけじゃないです。ハウスも欲しいし、せっかく夏にLAに行くから夏っぽいものも作りたい。ただ、たとえアップテンポでもチル&リラックスな雰囲気があるものにしたいと考えています。

――アルバムに向けて現在どんな曲をスタンバイしているんでしょうか。

SHO HENDRIX:アップテンポなアーバンソウルもありますし、地元・北海道で出会った地元のギタリストと一緒に書いた曲もあります。それは北海道の広い大地を想像できるようなバラードですね。

――最後に、改めてSHO HENDRIXで表現したい音楽を教えてください。

SHO HENDRIX:時間や場所に囚われない音楽。朝も夜も夏も冬も聞ける、みたいな。それがアルバムの1つのポイントになる気がしています。今までは必ず楽曲にキラキラ成分を入れていたんです。バラードにも入れていたから。だけど、今回はどちらかといえばブルージー。それを自分がやると、ちょっとポップな要素が入って、ちょうどいいオリジナリティが生まれるんじゃないかと自分で自分に期待しています。これまでのイメージとは違う、みなさんをワクワクさせられるようなものを届けられると思うので、楽しみに待っていてください。

*複数人で楽曲を制作する作曲スタイルのこと

 

(インタビュー・文/猪又 孝)

「草花と火山の物語」には直筆サインとワイン付きミュージックカードでもリリース!

 配信リリースされた「草花と火山の物語」だが、これを皮切りに、直筆サイン入りオリジナルワイン付きのミュージックカードを特典付で3作連続リリースすることもアナウンスされている。mu-mo SHOPのみでの受注生産・数量限定で、受付は2023年7月31日23:59まで。
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