謎に包まれた『君たちはどう生きるか』は、懐かしさも新しさも感じる純然たる“ジブリ映画”だった!【黒田勇樹のハイパーメディア映画鑑賞記】
こんにちは、黒田勇樹です。
8月9日から始まるJungle Bell Theaterの二本立て公演『夜行万葉録・戌』『おとぎ夜話・寿』の『夜行万葉録・戌』に出演させていただきます。場所は「劇的スペース・オメガ東京」という荻窪にある劇場なんですが、初めて立たせていただく劇場なので、そっちも興味津々です。
暑い中、頑張ってますので、ご興味のある方はぜひ。
では今週も始めましょう。
「事前の宣伝をほとんどしない」ということで、まず話題になったこの映画。
最近「内容を公開しない宣伝戦略」が、流行っていますがアレは「内容は教えないよ~、劇場で観てね~」という宣伝に、めちゃくちゃ金をかけてる。
一方、この『君たち~』は、宣伝自体に、ほとんどお金をかけていないのに、戦略として成功した。
「ジブリ」という名前で、多少の下駄は履いているのでしょうが、それもやはりこれまで実績の賜物なので“実力”グゥの音も出ない、やり方だったと思います。
映画の宣伝に携わっていた事がある人間からすると「あんなに豪華なキャスト揃えておいて、バラエティとか情報番組、1周させないって、やっていいの!?」と、思うほどのキャスティング(“1周”って、いうのはスポンサーになってるテレビ局とかの番組に一通り出て、ヘラヘラしながら映画やドラマの宣伝をするという感じの業界用語)。
エンドロールに並ぶ名前を見て震えました。
タイトルと、原作となった小説を鑑みると「社会的な思想の強い作品なのかな?」と、思いつつ劇場へ向かったのですが、めちゃくちゃにファンタジーな映画でした。
それでいて原作の意志を継いでいないかというと、そうではなくて「原作となった小説を読んだ少年が、異世界で冒険する」という、宮崎駿監督ならではの、ウルトラCで、とてもよく表現されていました。
「コンバート」というのかな? 自分の伝えたいことを押しつけるのではなくて、エンターテイメントに“変換”して、更に“昇華”させているという印象でした。
作画が、いい意味で“少し巻き戻っていた”のも印象的。もののけ姫あたりから、描き込みすぎというか少し窮屈でグロテスクな描写が増えたイメージなのですが、今作は、肩の力を抜いてみれるアニメ的なカットが多くあり懐かしさを感じました。鳥が全部可愛い。
あと「これ絶対、あれのオマージュだ!」っていう、過去作に似たカットや背景も出て来るので、ジブリファンはそこも楽しんで下さい。
きっと、また、なんか作るんだろうな~。楽しみだな~。
ストーリーについてももっと触れたいけど、“謎”なのもこの作品の面白みなので今日はここまで! 是非、皆様劇場へ!
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1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として舞台やドラマ、映画、CMなどで活躍。
主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともにTBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。山田洋次監督映画『学校III』にて日本アカデミー賞新人男優賞やキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパーメディアフリーター」と名乗り、ネットを中心に活動を始めるが2014年に「俳優復帰」を宣言し、小劇場を中心に精力的に活動を再開。
2016年に監督映画「恐怖!セミ男」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映。
現在は、映画やドラマ監督、舞台の脚本演出など幅広く活動中。
公式サイト:黒田運送(株)
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