ペットボトル以外でも!様々な業界で進む「水平リサイクル」
使用済み製品を原料として、同一種類の製品につくりかえる「水平リサイクル」。循環型社会の実現に向けてカギを握るこの「水平リサイクル」は、飲料メーカーが先行して積極的に取り組んでいるが、近年はペットボトル以外でも「水平リサイクル」を目指す取り組みが拡大している。
水平リサイクルのスキームが整っている清涼飲料業界では、2030年までにペットボトルの水平リサイクル率50%を目標に掲げているが、日本コカ・コーラとサントリーの2社は既にこの基準に達しつつあるという。今年5月には水平リサイクルの認知拡大に向けて、このライバル同士の2社がタッグを組み、啓発コミュニケーションを協業で展開し話題を呼んだ。
日用品業界では、同じく今年5月に花王とライオンの2社が洗剤のつめかえパックの水平リサイクルで協業し、技術的にも難しいとされていた、水平リサイクル再生材料を一部に使用したつめかえパックを初めて製品化したことを発表し、こちらも話題となった。
水平リサイクルの動きは、容器以外のモノにまで広がっている。三菱鉛筆では、使用済みのプラスチック製ペンの水平リサイクル実証プロジェクトを現在実施中だ。2022年10月より2024年3月の期間、東京都品川区内の学校・行政機関・企業等から回収した使用済みのプラスチック製ペンを原材料とするペンの製造とCO2排出量削減の効果を実証しているという。
国内ブルーシート製造トップシェアの萩原工業は、ブルーシートの水平リサイクルを積極的に進めており、国内最大級の水族館「海遊館」(大阪市港区)で現在開催中の特別企画『スマホをかざすと中がのぞける?!「BLUE SEAT」』などでも水平リサイクルされたブルーシートが採用されている。
今年の6月末には東京都と一般社団法人アメニティ・リサイクル協会が、宿泊事業者向けアメニティグッズの水平リサイクルの推進に向けた包括的な協定を締結し、東京都内の宿泊事業者で使用されるアメニティグッズを収集・回収しリサイクルすることで、環境保全と資源循環の促進を目指すと発表した。まずは歯ブラシやヘアブラシが対象で、今後カミソリなどの品目も拡大していく予定だという。
資源循環やCO2排出量削減に貢献する「水平リサイクル」は、今後も企業同士の連携などがさらに活発化し、さまざまな業界・モノに広がっていきそうだ。