仮想空間「メタバース」で日本はリードできる?黎明期の今を有識者が探る

エンタメ業界におけるメタバースの取り組みを話す中川悠介氏

メタバース×日本のエンタメは期待大?

 セッションではまず、“メタバース利活用のいま”と題して、各業界における利用状況などを共有した。

 中川氏が手がけるのは、メタバース上の文化都市「MetaTokyo(メタトーキョー)」プロジェクト。オープンメタバース上に自分たちの空間を作り、所属アーティストの日頃の活動やファッション、日本の伝統文化などを発信する。昨年は奈良県の真言宗豊山派総本山・長谷寺とのコラボレーションで、MetaTokyoエリアに仏教音楽の一種である「声明」の公演動画を上映する実証実験を行い、世界111カ国の人々が仏教音楽を楽しんだ。

 中川氏は「日本のエンターテイメント業界では“何かチャレンジしよう”という空気はあるが、まだまだこれから。音楽配信の権利など課題もある一方で、日本のアーティストの世界進出や海外のファン作りの新しい形になる」と話し、グローバル市場への新たな足がかりとしてメタバースの持つ役割の大きさを示した。

 これには平氏も「メタバース空間のこれからの醍醐味は、コミュニケーション。一緒に話して仲良くなって、これが楽しいんだと思う。クオリティの高いAIアバターが出てくる中で、日本のさまざまなキャラクターやストーリーが経済圏として一気に爆発する可能性がある。チャンスに溢れていると思います」と、コンテンツ力に期待を寄せた。