元バレーボール女子日本代表の栗原恵さん「普段からのコミュニケーションと共存意識が大事」【関東大震災から100年】

 今年2023年は1923年9月1日に起こった「関東大震災」から100年が経つ。この節目の年にTOKYO HEADLINEではさまざまなジャンルの人にさまざまな視点から防災について話を聞いていく。今回は元バレーボール女子日本代表の栗原恵さん。

元バレーボール女子日本代表の栗原恵さん(撮影・蔦野裕)

リハビリ中に東日本大震災

 東京都では100年前の悲劇を繰り返さないために「風水害」「地震」「火山噴火」「電力・通信等の途絶」及び「感染症」の5つの危機に対して、都民の安全・安心を確保できる強靭で持続可能な都市を実現するため「TOKYO強靭化プロジェクト」を策定している。こういった危機対応にあたっては行政による「公助」の取り組みはもちろん、日頃からの市井の人々の「自助・共助」へ取り組む機運の醸成も欠かせない。

 防災について意識していることはありますか?
「最近は特に地震も多いですし、いろいろな災害を目にする機会が増えてきたので、私も家に災害グッズを置いたり、水を多めに用意したりということは意識するようにはしています。水については、以前、茨城のチームにいたときに、茨城で地震を経験された先輩方から“お風呂の水をためていて断水した時に助かった”というお話を聞いたんです。それからは夜のうちはすぐに流さずに、何もなかったら流すということは継続しています。また、家には猫が3匹いるので、すぐに連れて出られるようなケージや避難先でも使える快適なケージ、それに常にペットフードも多めに用意しています」

 日本はもちろん世界でも試合をしています。遠征先などで地震に遭ったことは?
「あります。ヒザの手術をしてリハビリの施設にいる時に東日本大震災が起きました。最上階の食堂でご飯を食べていたんですが、お皿がすべて落ちてきました。ヒザの手術をして足が不自由だったんですが、最上階から下まで階段を使って降りるという特別な経験というか、こんなにも不便なんだなということを改めて感じさせられました」

 最上階から降りてくるときは看護師さんやリハビリのトレーナーといった方々の助けを借りて降りたんですか?
「いえ、食堂の方たちや同じトレーニングをしていた選手たちと一緒だったんですが、みんな足をケガしていたので、みんなで手すりをつたいながら、足にあまり力をかけないように降りました。私は左足だけだったので、右足と両腕が使えたんですが、友達は両ヒザを手術していたので、みんなで声を掛け合い“ゆっくり降りようね”って言いながら、頑張っていました」
 
 具体的に体を支えてもらったというより気持ちの面で支え合っていた?
「そうです。みんなで」

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